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特別番外編「君が消える日」10※
「1回イっとくか。おまえ、もうもたねえだろ」
腰を支えている手を離したら、そのままへたりこんでしまいそうな雅紀を、暁はしっかりと抱え直して抱き締めた。
「……ん……っふぅ……」
唇を奪い、完勃ちの雅紀のペニスに手を伸ばす。少し扱いただけで、雅紀はぴくぴく震えながら達して、甘い熱を放出した。
ザッとシャワーで洗い流してから、バスタオルで水気を拭き、暁はよろけそうな雅紀を支えて、屋根裏部屋へ移動した。
陽が落ちて真っ暗なはずの室内は、天窓から射し込む月明かりと星明かりが、柔らかい照明になって照らされていた。大きなベッドが青白い光に浮かび上がって、ちょっと神聖な雰囲気を醸し出している。
「足元、段差あるから気をつけろよ」
「うん……」
ようやくベッドに辿り着くと、暁は先にふかふかの掛け布団を外して、丸めてチェストの上へ片付けた。真っ白なシーツの上に、予備のバスタオルを広げて敷き詰めてから、その上に雅紀を寝かせる。
快感の余韻でぼーっとしていた雅紀は、ほぅ…っと吐息をつくと、潤んだ瞳で暁を見つめた。
「ごめ……なさぃ……俺、力、入んなくって……重かった……でしょ」
「ばーか。んなこと気にすんな。……続き、してもいいか?」
雅紀はぽわんと頬を染めると、こくこく頷いて、暁の方に両手を伸ばした。暁は潰してしまわないように気をつけながら、上に覆い被さると、じっと目を見つめて
「すっげー綺麗だぜ……雅紀」
暁の甘い囁きに雅紀はふんわりと微笑み、暁の背中に腕を回して抱きついた。暁も微笑んで、しっとりとキスを落とす。
重ね合う唇と肌が、どんどん熱を帯びていく。
東北の温泉で、月明かりの下で見た雅紀の肢体も、神々しいくらい美しかった。雅紀の白い滑らかな肌には、青みを帯びた月の光のヴェールがよく似合う。
……あーっもう、すっげー好きだ。好きで好きで、どうしようもねえっ。
この愛しくてたまらない恋人を、今、組み敷き、愛撫しているのは自分だ。
全身に熱いキスを落とし、可愛い声で鳴かせているのは自分だ。間違いなく自分の意思で、自分の手や口で愛しているのに。こんなにもしっかりと、実感出来ているのに。
もしかしたらそれが出来なくなる?本当に?
人は死ぬと、どこへ行くのだろう。
最期の瞬間まで、さまざまなことを感じ、思考していたはずの魂は、肉体を抜け出た瞬間、何処にいくのだろう。
ひとつの身体に、本来ならばひとつしか宿らないはずの魂。
俺と秋音の場合は、ひとつの身体に2つの魂が宿っている。
では、もしそのひとつが身体から抜け出てしまったら……。
それは何処にいってしまうのだろう。まるで何も無かったかのように、消えてしまうんだろうか。
雅紀に対する、このせつないほどの愛おしさも。
最初から、存在していなかったかのように、消滅してしまうんだろうか。
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