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旦那様は週末限定!
αあれやとかΩのあれやとかそんな第二の性に纏わるあれやこれやは世間一般のβにとって文字通り世界が違う話だ。αはΩとβはβ同士で番になる。そんな当たり前を信じて今までの人生を歩んできた。
「先生!俺と番になってください!」
しかし今、私はαの男に迫られている。いや!いやいやいや!頭が追い付かない!αの男子高校生が冴えない中年βを捕まえて番になってくれ?これはドッキリか何かか?いたずらか?いやαとかβとか以前に教師と生徒だ。ここは32年間の人生で培ったスルースキルをフルに発揮して何とかかわすしかない!
「あ、あははは山城(やまぎ)。告白の練習かー?ストレートなのはいいけどいきなり番になってくれって言ったらΩの子は驚いちゃうぞーハハハ」
「俺、川野(かわの)先生が好きなんだ!先生と番になりたい!ダメかな・・・?」
うっ・・・そんな顔で見るんじゃない・・・生徒の困った顔を見ると助けたくなるのは教師の職業病だがこれは流石に・・・道を外れそうな生徒には時に厳しくするのも教師の仕事か
「山城。お前の気持ちはうれしいよ。でもな先生はβでしかも男だ。そしておまえはαだ。分かるか?αとβじゃ住む世界が違うんだ。だからお前は可愛いΩの子を見つけてそのこと番になりなさい。」
「先生・・・俺・・・俺の告白は気持ちいいってどういうこと!?番になってくれるってこと!?」
この子全然話聞いてなーい!!というか・・・
「気持ちいいなんて一言も言ってない!気持ちは嬉しいと言ったんだ!それじゃ私が生徒の告白を聞くのが性癖の変態教師みたいじゃないか!というか興奮しすぎ!鼻血出てる鼻血!」
「先生!いやマイワイフ!一生幸せにします!」
「山城、その頭の悪い呼び方をやめなさい。そしてどさくさに紛れて抱き着くんじゃありません。君の鼻血がシャツに付着しちゃいます。」
山城はその巨躯で私に勢いよく抱き着いてきた。情けない話だが細身な私は山城にすっぽりと包まれてしまった。しかも壁際に追い込まれてしまいこれで逃げることもできなくなった。
「先生・・・ハァ・・・川野先生・・・好きです・・・」
「コラ・・・、山城・・・離れろ・・・誰かに見られたら大事になる」
くそ、流石若いαだ。力強くてビクともしない・・・そんな無意味な抵抗をしていると山城はどんどん迫り、恐怖と抵抗で内またになっていた私の足と足の間に山城の太い足が押し入ってきた。これ以上はまずい・・・というか太ももから鼠径部に感じるこの熱くて太い感覚はまさか・・・
「ちょ!ちょっと待て山城!若いから元気なのは分かるがそれは元気すぎるぞ!」
「先生、俺もう我慢できない・・・ハァハァ・・・先生・・・イイ?」
いや、いいわけあるかーい!まずいまずいまずい!山城がガチャガチャと私のベルトを引きちぎる勢いで奪う。
「ダ・・・ダメだ・・・山城・・・これ以上は・・・私と君は教師と生徒で・・・」
「そんなこと関係ないよ・・・ハァハァ・・・先生・・・凄いい匂い・・・」
山城が首筋のにおいを嗅ぎながらワイシャツを脱がそうとしてくる。それと同時に山城の汗ばんだ首の匂いも私に伝わってきた。濃い・・・αの匂い・・・いやダメだダメだ!流されてはいけない!クソ何かこの場だけでも収めるいい方法はないものか。このままでは本当に生徒にレイプされてしまう。もうここは腹を括るしかない・・・
「山城!わかったお前の番になってやる!」
ガバっと山城が私の肩を抱き、大きな目をさらに大きく見開き私を見つめた。
「先生!ほんと!?本当に僕の番になってくれるの!?」
「ああ・・・・・・ただし週末限定だ!」
こうして私の週末限定の旦那様ができてしまった。
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