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100.いっぱいいっぱい※
「済まない…………」
荒い息の合間に、きしむような低い声。
きっと歯を食いしばって、なんかに耐えながら言ってる。
自分のこと『愚鈍』なんて言った、あんときと似てる、そんな声だな、なんて思って、
……悲しくなる。
なんで? 最近言わなくなってたのになんで?
「……なん……」
なんでンな声になってんのか分かんない。
けどイヤだ。
だから、なんとか顔をずらして後ろ見た。
丹生田はまだ腰を両手で支えたまま、口を少し開けて眉を寄せていた。はあ、はあ、と息を吐いて、ビックリするくらい汗かいて、目を伏せてて。
「……なんだよ……」
なんだよ丹生田。おまえもいっぱいいっぱいだったってコトかよ? なんだよ。俺だけじゃねえのかよ、そうなんかよ。
「……どしたよ、……ばーか」
横目で顔見ながら、思わずへへっと笑っちまった。したら突っ込んだまんまの丹生田のが、ぐりっと中を抉って「うあ」声上げつつ、またシーツに突っ伏す。
「…………済まない……」
「……謝んなバカ」
「いや、済まない………………出てしまった」
「え」
出て、しまった……て、「え?」もっかい声が出る。
だって丹生田の、たぶん半分くらい、まだ入ってるよ? ケツ違和感バリバリだよ?
「出て、ねえじゃ」
「……射精、してしまった」
「えっ」
思わず後ろ見る。「うぁ」またグリッとなってシーツに突っ伏し、ハアハア息を整える。
「じゃ、……じゃ……つかイった、の?」
はああ、と深いため息が、背後で聞こえる。
「……済まない……」
また低い声。なんだよ落ち込んでんのかよ。ばーか俺のが早いっつの。ゼンゼン大丈夫だっつの。
なんて言おうとして、「……てか!」ハッとして声が上がる。
「うくっ」
また動いちまって突っ伏しつつ
「………俺のケツん中……に、出した?」
恐る恐る聞くと「……ゴムは使った」低い声が返る。
「え、ンじゃこれで……終わり?」
「いや……」
妙に強い声が背中に落ちたと思ったら、腰をつかんでた手にグッとチカラ入る。
「うあっ!」
ずん、と太いモノが奥へと突き込まれ、思わず声が上がる。
「……これからだ」
「ばっ、おまっ! ……いきなりっ」
「済まん」
声と一緒に太いモノが小刻みに前後を繰り返す。コッチの身体も揺れる。
「おいっ、んぁ、ばっ、一回……抜くとか……っ!」
「無理だ」
あのデッカいブットイのが、奥まで、どんどん押し広げてく。
うあ、なんだコレ、内蔵押し上げられてる感じ。めっちゃ揺れる、つか揺らされてるし、やべ、アタマぐらぐらして
「んぁ……、ちょ、待っ」
泣きそうな声になってた。
動きが止まり、ホッとして、はぁぁ、と息を吐く。
「……え」
……背中があったかくなった。
耳元に、後ろから息がかかる。ふう、ふう、とか、すっげ息荒い。
「ああ……」
低い声が、耳に響いた。息が熱い。逞しい腕が胸に回って抱きしめてきた。
「……にゅう……?」
「……全部、……入った」
満足げな低い呟きが耳に響く。
え? んじゃ、え、どゆこと?
「……本当、だな」
声と共に手が、胸を、腹を、撫でるようにゆっくりと動いてく。
「んっ」
後ろはガッツリ突っ込まれたモンでパッツンパッツンなってて、マジで息するのもやっと。すっかり萎えたちんこを撫でる指。
「本当、だった」
けど丹生田の声が嬉しそうだ。なんかちょい嬉しくなる。
「な……にが?」
「……気持ち、いいんだ。とても」
低い呟きと同時、ガクッと身体を揺らされて「ぁくっ」シーツに頬を押し付ける。
「……ああ…」
断続的に耳を打つ呻くような低い響き、けど応えることなんて出来なかった。後ろからガンガン突き上げられ続けたから。
「あっ、うぁ、……ふ、んんっ」
歯を食いしばっても漏れちまう、意味の無い声が止まんねえ。
痛い、つうのとは違うんだ。けど気持ち悪いような、そんな感じに耐える。揺らされ続けてアタマぼーっとしてきて、なんかもう、分かんねえ。自分が今、普通じゃないって感じもして、けど、まとまった考えなんて無理ってか。
でも背中からふいごみたいな、ふぅー、ふぅー、なんて呼吸が聞こえてても、動き続けるから揺らされてるんだって、そう思っても、怖くはなかったし、イヤでもなかった。
だって丹生田だ。
丹生田が、なんか夢中んなって俺のこと抱きしめてる。時々唇が耳に噛みついたり、手があちこち触れたりしてる。ずっと止まらずに腰打ち付けてきて、揺らされてるからなんかボーッとしてきて。
抱きしめてた手が動いたとか、そんなのぜんっぜん気づけなくて、だからペニスをつかまれた瞬間、「あっ」ひときわ高い声が漏れたのは無意識。
「んっ、……くぁ」
「……ふじえ…だ…」
動き続けながら、丹生田の手が擦り上げてる。乱暴ってくらいの動きで突き上げつつ、荒い息を吐きながら。
「ふじえだ」
低い声が耳を擽り、なんか色々分かんなくなって、いつのまにか手の中でむくりとチカラ取り戻してるモンが気持ち良くなってく。肉厚の手がさらに擦り続ける。
「んっ、は、にゅ……っ!」
どんどん動きは激しくなってく。打ち付けられる肉と肉がパンパン音を立ててる。
「ふじ、えだ」
後ろは張り詰めたみたいに広がってんのに、そこを出入りするモノが……最初は違和感しか無かったのに、ずっと揺すられてるうちに、そこにあって当たり前みたいになって。
「ぁ、は、……バッ、んあ」
意識は朦朧として、ただ丹生田の息が、呻くような声が、背や腕や尻に感じる体温が、そして前擦ってる動きが、─────そんな色々が世界の全てになる。
「んっ、まっ、やば」
「ふじえだっ」
なんだ、なんだコレ、なんだよ
「んっ、……ん、んっ」
「ふじえ…」
「……っ、にゅう……」
「ふじえだ……」
背中を覆う体温。
荒い息。
耳元で囁くような叫ぶような声。
「ふ……ふじ……っ」
巻き付く腕。
なんだ? なんでこんなに
「……あ、ぅあ」
幸せなんだ─────
「藤枝……っ!」
─────涙が出るほどの、なんかに包まれ
────────達してた。
一瞬だったような気もする。
すごく長い時間だった気もする。
真っ白でふわふわしたトコにいた
……気がする。
そっから戻ったのは、ズルッと抜け出てく感覚に引っ張られたからだ。
「はぁっ、んく、はぁ、はぁ、はぁ」
めちゃ息荒い。
そんなコトに気づいて、腰が崩れてるのに気づいて。
シーツにベッタリ腹ばいになって、ぼうっとしながら、ただ、荒い息を吐いて、ちょい思考力が戻ってくる。
終わり、かな? 終わり、だよな?
なんか、わけわかんねえ、けど、けど、もうもう、無理、つかぐったり
百メートル全力ダッシュ、ぶっ続けで十本やったみたいな、ぱねえ疲労感。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
え
がっしり肩つかまれた。
かなり強い力で、そのまんま引かれて、ごろんと仰向けになる。見下ろしてる丹生田を、ぼうっと見上げる。
怒ったみたいなマジな顔。
睨むみたいな真剣な目。
「…………藤枝」
ちょい苦しそうな低い声が、唇の間から漏れた。
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