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第28話 記憶
そういえば、俺、いつからか尚とつるまなくなったよな…。
尚は若干人見知りなのもあるし、どっか不思議な雰囲気あるし、引きこもり気味だし…。
いや。
俺がこんな性格だから尚のペースに合わせてられなくなって、それでちょっと他の奴らと遊ぶ様になったんだよな。
ついでに彼女なんかも出来て、調子にのって…で、殆ど尚の相手しなくなって。
そうだ。
その頃から尚は部屋に籠る様になった気がする。
完全な引きこもりとは違うけど、すっかりインドア派になったんだよな。
昔は俺が遊びに誘いに行って、玄関から尚が出てきて、手を引いて遊びに行ってた。
そりゃそうか。
俺が誘いに行かなくなれば、あの尚が自分から外で遊ぶなんて考えられないもんな。
俺が最近、尚の家に行くのは専ら彼女が居ない時の暇つぶしか、悪友と出かけるのが面倒になった時に理由付けでしか行かないもんな。
そんでもって尚の家に押しかけベッドでゴロゴロして、お菓子食べて、ジュース飲んで。
あ、もちろん俺が口にしてたのは尚のお菓子とジュースな。
最悪な幼なじみだな、俺。
だけど尚はブツブツ文句いいつつも、つきあってくれるんだもんな。
尚って最高な幼なじみじゃね?!
ゴン!
「痛っ?!……?」
額の痛みと急に差し込んだ眩しさに、俺はゆっくりと目を開けた。
「…?」
あれ?
ここ…って、そうだった!
寝てすっかり忘れていたが、ここは車の中、運転席だ。
狭くて、体のデカイ俺がぶつかるのも仕方ない。
思い出した俺は、目の前に尚が居ないことに気がついた。
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