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それでも橙里がどうにかできる状況ではなく、橙里はある作戦に出た。 それは、土下座すること。 稜をとっ捕まえ、なにかを言う前に土下座をした。額を汚れた地面にくっつけ、手にはべったりと泥をつけながら。 『お願いだから喧嘩しないでくれ。おまえが怪我すると、おまえの両親も……僕も心配するんだよ』 稜はひどく慌てた様子で橙里のことを地面から引き剥がした。そして、自分の胸に橙里のことを掻き抱いた。 『わかった。わかったからそんなことするな!』 その言葉を聞いて、橙里はしめたとばかりに顔を上げ、ニタリと笑った。泥のついた前髪を晒しながら。 『言ったな? 二度と夜出歩くんじゃねえよ。もし次したら、今度はトイレで土下座するからな』 『ちっ……わかったよ。汚ぇな』 『はあぁ? おまえが喧嘩しなければいい話じゃねぇか』 この出来事以降、稜が夜出歩いたり喧嘩することは一切なくなった。

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