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──懐かしいな。 野菜に火を通しながらそんなことを思い出していると、稜が風呂からあがってくる。傷跡一つない肌がほんのりとピンク色に染まり、子供のようになっている。 それを見て、橙里は無意識に口角をくっと上げた。 「できたぞ。座ってて」 そう言う前に既に座っていて、手伝う気は一切ないとわかる。 内心文句を言いながら、料理を次々と運んでいく。味噌汁と野菜炒め、あとは冷蔵庫に入っていた昨日の残り物。 完全に和食だな、と思いながら手を合わせる。稜もいただきますとは言わないもののしっかり手を合わせてから手をつける。 そういう礼儀もなってることに気づいたのはつい最近のことだ。しっかり稜のことを見ていなかったと反省したのを覚えている。 そういえば、どうして稜は橙里との同居を許してくれたのだろうか。 「稜さん」 「……」 「なんで僕がここに来ること許したの? 基本的に他人に踏み込まれるの嫌うじゃん」 そう問えば、稜は一旦食べる手を止め橙里のことを見つめた。その瞳に思わずびくっとしてしまう。 「……おまえは別」

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