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専用の櫛で髪を揃えてから、カットしていく。ロングからミディアムにしたいということで、まずは目星をつけてから均等にカットをする。 すると、女性が話しかけてきたので手を止めた。 「あ、ねえ橙里さん」 「ん?」 「ここの隣にあるレストランに行ったことある?」 レストラン。ワインソムリエ。稜。 レストランという単語からすぐに稜が想像できてしまう。末期だ。 今髪を切っていたら絶対にざっくりいっていただろう。手を止めておいてよかった。 「うん、あるよ」 平然を装ってなんとかそう言う。 「そこの若いワインソムリエの人がすっごいイケメンで! 私びっくりしたんだよね。こんなイケメンいるんだ、って」 「……そっか」 「しかも、ワインが料理にぴったりなの! あんな若々しいのに三十三歳って驚いて!」

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