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「やめろ。僕まで口説こうとするな」
「えー。でも結構本気よ? 一回オレとベッドインしてみない? よくしてあげるよ」
「遠慮する!」
瀬島が言っても全く冗談に聞こえない。本気で言っているなら尚更キツい。
朝、稜が適当に作ってくれたサンドイッチを頬張りながら稜のことを考える。
お金の代わりに身体を差し出すなら、安いものなのだろうか。
ふと、考えてみる。組み敷く稜と、組み敷かれる橙里。
全然平気だと思っている自分がいるのは気の所為だろうか。
「あ、それ手作り? 彼女なんていたっけ?」
「いや、同居してる幼馴染」
「女のコ? 野郎?」
「男」
律儀に答えるのが面倒で、適当に答えると何故か瀬島が不気味に笑う。
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