86 / 527

[6]-2

「あの幼馴染って学生時代からずっとあんな感じなの?」 話を逸らされた気がするが、まあいい。 「そうだ。今よりもうちょっと喋ってくれてたけど」 「あ、今よりも話してくれたんだ? どんな話してたの?」 「……うーん……朝ご飯の話とか、僕が猫を見かけた話とかかな」 「全然想像できへん。かわいいですね」 戸園が口元に手を当てながら笑う。戸園は基本的に物腰が柔らかいため接しやすい。気が抜けると関西弁が出るのも接しやすい理由の一つだ。 アイスコーヒーをストローで飲むと、暖房で温まった身体が中から冷えていくような気がした。 「そういえば、ももさんって男の方もイケるんですか?」 「んぐ……!?」 前言撤回。いくら接しやすいとは言えど失言は許さない。 男。男か。 「……恐らく平気だと思うけど、理想はまあまあ高いと思う」 「へえ。どんなんです?」 「……肌が綺麗で髪が綺麗で指が綺麗で声が低くて目が綺麗で……」 「理想高っ!」

ともだちにシェアしよう!