88 / 527
[6]-4
確かに、稜は抜群にかっこいい。非の打ち所はなく、難点があるとしたらあの性格くらいだ。
「ももちゃんも美人だしね。ももちゃんのことも初めて見たときは綺麗だと思ったよ。男なの? って思って」
「ももさんもそこら辺の女性より断然綺麗ですよね」
二人のイケメンにそうやって言われると、流石に少しは赤面してしまう。
でも、この二人がなにを言いたいのかはさっぱりわからない。
「……なんだ? なにが言いたいんだ?」
「気付かないの? 嘘……」
「鈍感ですね」
二人の狙いがわからずにいると、羽村が教えてくれた。
「あの幼馴染とももちゃん、お似合いだよねって」
「……ええ? お似合いって……相手は男だぞ?」
「ですから、そこら辺の女性より断然綺麗って言ったんですよ」
そういうことか。
そう思うならそれを早く言ってくれた方がいいのに、何故無駄な駆け引きをするのだろうか。
「だったらそれを早く言えよ」
「えー? だって、なんだろうって考えさせるのって面白くない?」
「はあ?」
稜といるときは駆け引きなんてしたことがなかったから、やはり苦手だ。
ともだちにシェアしよう!