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美容室の扉を開けて中に入ると、既に幹と瀬島と、新しい美容師がいた。
扉の両脇にある壁はガラス張りになっていて、内側からしか外側が見えない構造になっている。
ということは。
──やっべー今の全部見られた……
瀬島に視線を送ると「やっちゃったね」と言っているような気がした。
「ももちゃん。このコが新しいコよ。ほら、自己紹介しなさい」
幹にそう言われ、嫌そうに顔を顰めてから名前を言った。
「……矢本 樹 です」
「あ……百川橙里です。よろしく」
橙里がにこっと笑うと、あからさまに軽蔑するような顔をする。なんだこいつは。
幹が言っていたようにかなり顔が整っている。つり目気味で鼻筋も通っている。染められたような青みがかかった黒髪をしていて、身長もかなり高い。
ピアスも付けていて、自分に自信があるようだった。
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