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「あれは一緒に住んでる幼馴染だし、ホモじゃない。勝手に決めつけないでね」
「うわ、同居してんの? マジでないわ」
橙里のことを馬鹿にするようにそうやって言ってくる。瀬島のことを見ると、ニコニコしながらもかなり怒りを含んだ顔をしていた。口元がかなりヒクヒクしている。
「オレたちの他にも、あと二人いるんだけど、今はいないから。戸園蒼樹と羽村桐野ね。ちゃんと名前を覚えておくことと、敬語で接すること。わかった?」
「はいはい。戸園と羽村でしょ」
「はいは一回。呼び捨てじゃなくてさんを付ける。これ、社会の常識ね」
瀬島の指摘に、矢本が小さく舌打ちをする。
なんとなく、稜に似ている気がする。でも、稜の方がまだマシだ。
こういうタイプは、人の話を聞かないで人のことを普通に貶すくせに、自分のミスを指摘されると腹を立てる、一番面倒なタイプなのだ。
「まず、君の仕事についてだけど。最初は雑用とか掃除。電話の対応とか買い出しに行ってもらう」
「は? カットとかシャンプーとか出来ねえの?」
「入ってきてすぐ出来るわけねえだろうが。ここで自分が一番上手いとでも思ってんの? まずは裏方やって何ヶ月かしたらやっと客の髪を触ることが出来んなよ。この仕事舐めんなよ」
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