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「……相変わらずでけえな」 橙里の実家の前にやって来て、稜がそう呟く。 橙里の実家は京都にあり、実家周辺の土地を父親である洋介が管理しているため家がかなり大きいのだ。 と言っても平屋建てで、洋風ではなく和風なのだが。 「久しぶりだー。前来たとき何歳だったっけ?」 「知らねえよ」 チャイムのボタンをぐっと押すと、来客を知らせる音が小さく聞こえる。稜が舌打ちをした。 「どうした?」 「……あのうざいガキはいんのか」 「ガキって言ってももう二十五だけどねー。稜はほんとに康くんが嫌いだな」 康くん、というのは稜と橙里が高校生のときに小学生だった稜の従兄弟のことで、稜がかなり嫌う人間の一人でもある。

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