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少しは丸くなったと思うが、康は稜のことが大好きでよくひっついていた。それが稜はうざかったらしい。
「……そんな稜さんに悲報です」
「あ?」
「康くんに弟が出来まして」
「……は?」
「尋 くんって言うんだけど、現在中学二年生で……ふっ」
「最悪。いちばん生意気なときじゃねえか」
橙里が言っている途中に鼻をつまんできた。苦しくなって変な声が出る。
稜が大きくため息を吐いたところで、祐子がやって来た。
「橙里! 久しぶりねえ!」
「母さん」
「あら……稜くん?」
「うん。大人っぽくなったよね」
祐子はかなり見た目が若々しく、橙里と並んでいると兄弟のように見えてしまう。
稜も、そんな祐子の見た目に驚いているようだ。
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