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「ん……」 ふと、物音がしたので目を開ける。どうやら寝てしまったらしく、隣にいた稜もいない。 周りを見渡すと、康が日本酒を持って戻ってきた。 「お目覚めですか」 「うん。みんなは?」 「もう日を跨いだので、寝ましたよ。一緒に飲みます?」 「……ちょびっとだけ」 康が隣に座る。透明なグラスを持ちながらやって来た彼は、かなり酒の臭いがした。 「結構飲んだの?」 「そうですね。まあ、どれだけ飲んでも酔わないんですけど。そう言う橙里さんは弱そうですね」 「いやー弱い弱い。前なんか稜に酔わされて……」 そう言いかけて、橙里は口を結んだ。康の前で稜の話題を出すのはあまりよくないと思ったからなのだが、康はそんな橙里の思惑がすぐにわかったようだ。 「どうしました?」 「いや……」 「稜さんの話題なら喜んで聞きますよ?」

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