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「それに僕、彼女いますしね。ほら」
そう言いながら見せてきたのは携帯の待ち受け画面で、確かにそこには康とかわいらしい女性とのツーショットがある。
特に交際していない女性とのツーショット写真を待ち受けにはしないだろう。
橙里は、全身の力が抜けていくのを感じた。
「もーなんだよー……てっきり本気なのかと……」
「まさか。だって、憧れの人に名前を呼んでもらったら誰だって嬉しいでしょ。僕は同性愛者でもないですし」
「……僕は?」
「ええ」
なにか意味深のような気がする。もしかして、こちらも橙里と稜の関係を疑われているのだろうか。
グラスに入っている水をぐいっと飲み、考え直す。
「……康くん」
「はい」
「僕と稜のことについて……なにか気付いた?」
そう言うと、康がかなり動揺した。やはりなにか見られてしまったのかもしれない。
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