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なんだか悔しくなり、目の前にある傷一つない首筋に噛み付いた。
「っ、おい……」
驚いたのか、動きを止めて離れようとする。ただ、橙里のことを乱暴に扱うことは出来ないらしく、されるがままになっている。
何回か力を入れ、口を離す。赤く橙里の歯型の跡が付き、ほくそ笑んだ。
「……付いた」
マーキングが成功し、にやっと笑うと稜がため息を吐く。
なにか小言を言われるのかと思い覚悟していると、首に小さな痛みが走る。
「えっ、あ……」
吸血鬼の如く八重歯を立てられ、本当に血を吸われているようだった。
実際うっすらと血が滲み、白く透き通る肌に不似合いな痕が付いた。
「い、た……」
「一週間は残る」
「勘弁してよ」
「おまえもやっただろ。俺怪我とか治りにくいんだよ」
「知ってる」
「おい」
学生時代殴られてもすぐに治ることはなかったのを一番近くで見ていたのに知らないはずがない。
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