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その言葉に橙里の頬は赤く染まる。まるで稜の持ち物かのような扱いをされて、恥ずかしいやら嬉しいやらでいっぱいなのだ。 稜も起き上がり、乱暴に浴衣を脱ぎ捨ててシャツを着始めた。 「寒いなー。どうせ京都に来るなら秋に来たかった」 「だったら来年秋に来ればいいだろ」 「そうなんだけど。稜も一緒に来る?」 「……俺も紅葉見てえしな」 稜が何気なく言った言葉に少しだけ嬉しくなる。何故ならそれは来年も一緒にいてくれるという意味で、拒絶はされていない。 稜の些細な言葉で一喜一憂して、より深く知れる。それが橙里はただただ嬉しかった。 「話変わるけど。稜って大学生のときも付き合ってた?」 「……ああ、まあな」 「何人くらい?」 「何人だ……覚えてねえ。おまえよりは少ねえよ」 「そんな多くないっつの」

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