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周りにばれないように橙里の首の後ろを手刀で気を失うように叩いた。
橙里はあっという間に気を失い、稜の胸元にぐったりともたれかかってくる。
これで、他人から見たらショックで気を失ったようにしか見えないだろう。
もう、それでいいと思う。
橙里の泣き顔を見られないならそれで。
最初は橙里の方に向いていた目も、今では惣作に向いている。尋と康も花を上げている。
無茶しやがって、強がっても意味はないと稜は知っていた。
橙里が強がるとき。それはもうすぐ泣いてしまうときか、ただ単に悔しかったときの二択だ。
本人はそういう自覚がないのだろうが、稜から見たらなにもかもわかりやすすぎる。
会ってみて話してみて、変わったのは見た目だけだと知った。なぜなら話すときのくせも稜という名前の呼び方も、稜と他の人間に対する態度も、全てが変わらないのだ。
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