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「……どうすればいいんだろう。どうすれば我慢出来るんだろうって……」 「うん」 「もう稜なしでは生きられないんだなって思って」 瀬島が優しく相槌を打って聞いてくれた。自分の好きな人がこんな話をしていて聞きたいはずないのに、聞いていてくれる。 ──瀬島さんは、優しい。 「……そっか。男同士で色々葛藤してるんだね」 「うん」 「誰が決めたんだろうね。男と女じゃないといけないなんて。オレはそういう下らない幻想ぶち壊してやりたいんだけど」 確かに瀬島の言う通りだ。 今の日本は同性愛に寛容ではない。街中で男女が手を繋いでいる光景が普通で、男同士で手を繋いでいるなんて異様だろう。 「でも、変ではないんだよ? どうしてそんなに悩んでるの?」 瀬島が優しく問いかけてきた。その声に、思わず安心してしまった。

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