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「……まあ、今君の頭を占めているのは稜くんだってわかってるよ。でも、もう我慢出来ない」
「……瀬島さん」
「ごめんね。迷惑かけちゃうだけなんだけど」
こういうとき、どう答えるのが正解なのだろうか。
瀬島のことは好きだ。でも、それは稜みたいな恋愛感情はでなくて先輩として、尊敬の意味も込めて好きなのだ。
迷っていると、瀬島が身体を元の位置に戻した。
「なにも言わなくていいよ。でも、普通に接してくれると嬉しいな」
「……うん」
「その代わり、稜くんとの話聞かせてよ。最近どうなの?」
相変わらずの切り替えの速さに、思わず苦笑してしまう。まあ、これも瀬島の良さだ。
「……稜のことが好きだって自覚した」
「あら、そうなの? 結構遅いね」
「自分でもそう思うよ。でも……そう自覚したら好きっていうのが止まらなくて」
膝の上に置いた手をきゅっと握りしめる。すると、瀬島が椅子ごと橙里の隣にやって来た。
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