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「ももちゃんはさ」
「ん?」
「稜くん? と付き合う気はないの?」
稜と付き合う。
そう想像しただけで何故か胸が高鳴ってしまう。別にここに今稜がいるわけではないのに、罪悪感があるのはどうしてだろうか。
「付き合う……って」
「あれ、そういう気はないの? 俺からしたらもうそういう風に見えちゃうんだけどね」
「……付き合ってるみたいに?」
「うん。なんだか悔しいけど」
瀬島が苦笑した。少なくとも普段の瀬島より声のトーンが本気で思わず橙里は動きを止めてしまう。
このまま瀬島に話を持っていかれてはいけない──そう本能が告げる。
でも、橙里が口を開くのと瀬島が超えを発するのとでは、明らかに瀬島の方が早かった。
「オレにしなよ」
「……へ?」
「稜くんより大事に出来ると思うけどな」
瀬島が座ったまま前屈みになり、上目遣いで橙里のことを見つめてきた。
その顔は男前で、稜とはまた違う色気を含んでいた。それでも、何故かどきっとはしない。
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