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「……でも」
「稜くんはももちゃんが好意を告げただけで軽蔑するような男なのかな?」
「……」
「ももちゃんはそんな人と何十年も一緒にいたいとは思わないでしょ? オレが見る限り、稜くんは誠実だと思うんだけど」
違う?
頭を傾けながらそう付け足してきた。確かに稜は誠実だ。
だから、好きになった。
見た目以上に、中身が素敵だった。
「……違くない」
「じゃあ、暗い方向に考えるのはやめようよ。言うのはとても勇気がいることだけど、二文字なんだから」
「うん」
頭をぽんぽんと撫でられる。稜とは違う撫で方に違和感を感じていると、瀬島が頭を撫でる手を止めた。
「……ももちゃん? 泣いてるの?」
「え……っ」
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