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いつもの帰り道。隣には寒そうに手に息を吐く橙里がいて、その口からは白い息が出ていた。
橙里が来るまではこの帰り道が辛くて辛くておかしくなりそうだった。立ちっぱなしで、たまにあるクレーム。
元から苛つきやすい性格の為道中はかなり険しい顔をしながら帰っていた自覚がある。
でも、橙里が来てからは苦痛ではなくなった。それどころか、日に日に変わっていく橙里を見ることが楽しくなったのだ。
変わったと思う。いや、橙里に変えられたと思う。
今日、目の前で橙里が死んでいく夢を見た。その夢は恐ろしいほど現実的で、目を覚ましたときには橙里の安全を確認して安堵の息を零したほどだった。
ああ、と思った。俺は、こいつなしでは生きられない身体になったと思った。
実際、橙里がいない生活は酷く物足りなかった。いつも自分の中にぽっかりと穴が空いているようで、なにをしても満たされないような。
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