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一通り飯も食べ終わり、ソファに座ってゆっくりとテレビを見る。なにやらイケメン俳優の特集がされていたが、その俳優より稜の方が何倍もかっこいいと思った。 やはり、基準が全て稜になってしまっている。かっこいいも優しいも行動も、なにもかも稜と比べてしまうのだ。 今思えば、稜の全てが好きなんだと思う。 声も、仕草も、中身も、見た目も──夜のテクニックも。稜に翻弄され、惑わされて嵌っていく。 稜に好きと告げたら、どういう反応をするのだろうか。 きっと、困ったように無言になって盛大に振られる。 「稜……好き……」 声に出して言ってみた。言った瞬間、とてつもない羞恥心に襲われ一人で顔を赤くする。 「言えないよー……こんなの言えたら苦労しないってば……ああー……」 クッションを抱きかかえ、ソファの上をごろごろと何度も往復する。その様子は、まるで駄々をこねる子どもの様だった。

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