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「……ね……稜、まだ……?」
そろそろ本気で焦れったくなってきた。もう初めて三十分も経つ。
もしかして挿れたくないのかもしれない。不安になりそう稜に言うと、稜が苦笑した。
「挿れんの初めてだろ? 橙里のこと傷付けたくないんだよ」
「んっ……」
「でも……そろそろいいかな」
稜がまとめて指を引き抜いた。
そのまま体勢を変えられ、ベッドに背中を預ける形で仰向けになる。
稜が上から橙里に覆いかぶさるようにベッドに手を着く。
「……ゴム付ける?」
「……いらない」
コンドームがあると本当に繋がっている気分になれないから嫌だ。どうせなら身も心も繋がりたい。
稜がジーンズと下着を脱ぎ捨て全裸になる。愛しい身体が室内灯に照らされていた。
「なあ橙里」
「……なに?」
「俺のこと好き?」
「え……好き……」
稜が無表情でそう訊いてくるものだから、ついそう言ってしまった。この時点で稜の策略に嵌ってしまったのだが橙里は気付かない。
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