450 / 527

[23]-24

「これ……めっちゃ高かっただろ」 「そうでもなかったよ。稜が高校生のときこのブランドの時計欲しいって言ってたから」 「よく覚えてるな。これは普通に嬉しいよ、ありがとう」 橙里が用意したのは超高級時計ブランドの、その中でもかなり高い部類に入る腕時計だった。 橙里は腕時計に興味がないのでどれがいいとか全くわからなかったが、稜が好きそうなデザインのものを選んだ。喜んで貰えてなによりだ。 「……あ」 稜が不意にそう呟く。紙袋をベッドの近くにある台に置いてから立ち上がった。 稜の行方を見ていると、手に小さい箱を持って戻ってきた。その箱は最近目にしたばかりのもので。 「これ、俺にも付けて」 「指輪……?」 「ん、同じやつ」 渡されたのは橙色のグラデーションとなっている、橙里と同じタイプの指輪だった。 差し出された右手の薬指にゆっくりと嵌めていく。こんなに稜の指を触るのは今日が初めてかもしれない。 指の付け根まで嵌めたところで稜が差し出した手を自分の顔の前まで運ぶ。 「……指輪とかロマンチック過ぎるって思ってたけど、結構いいんだな」

ともだちにシェアしよう!