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「ぅー、寒っ。マフラーしてくればよかったー……」
「おまえ持ってねえだろ。いつも俺のやつかっさらって行きやがって」
「でも今日稜もしてないじゃん。ちぇー」
いつもの時間に家を出て、それぞれの勤務場所へと歩く。
普段は会話が続くか続かないかくらいなのに、今日はずっと喋りっぱなしだ。
そして、稜が笑う回数が増えた。
「今日はどれくらいに終わる?」
「今日は……大して予約入ってないから少し早い」
「わかった。んじゃ、あとでね」
「ん」
美容室の前まで来たので、手を振る。すると稜も微笑みながら手を振り返してきた。
少しにやつきながら中に入ると、腰を押さえながら呻く瀬島とそれを見守る羽村がいた。
「……おはよ……どうした?」
「あ、ももちゃんおはよ」
「おは……ぅ、痛っ!」
顔を上げた瀬島だったがかなり痛いのかすぐに顔を歪め、下を向いた。
腰が痛いということは。
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