1 / 31
第1話
俺は、高松 悠斗 。
最初に言っておこう。
俺は腐男子だ。
腐男子っていうのは、腐女子の男子版で、男同士の恋愛漫画や小説などを好むBL好きな人間の事をいうものだと俺は思ってる。
そう、俺はBLが大好きなんだ。
三度の飯より好きかもしれない。いや、まぁ、飯も好きだけれど。
何故、俺が腐男子になったかというと、簡単に言えば母親がBL小説作家だからだ。
子供のころから腐女子な母親に漫画やら小説やらを見せられて育ってきたため、気が付いたら俺も立派な腐男子になっていたんだよな。
別にそのことに後悔はないけれど。
父親は俺が三歳の時に離婚して家を出て行っているから、母一人子一人の生活を送る中でBLは欠かせないものになっていた。
それぐらいBLが大好きな俺が、今、真新しい制服に身を包んで立っているのは陸上学園 高等部の校門の前。
全寮制の男子校だ。
そう、全寮制の男子校なのである。
俺がこの学園に入学を決めた理由は、たった一つ。
生BLを見るためだ。
小学生の頃からずっと、本物のBLを見たいと願ってきたけれど、小学校、中学校と共学校に通っていたため願いは叶えられず。
クラスメートの男子同士を勝手に脳内でくっつけて萌えるくらいしかできなかった。
どうすれば、本物のBLが見られるのか。
悩みに悩んだ俺は、もっているBL小説を読んであることに気が付いたんだ。
小説が書かれている舞台はほとんどが、男子校ばかりであることに。
それならば、男子校にいけば本物のBL、生BLが見られ野ではないのかという結論に至る。
そして、母親にも相談したんだ。
生BLが見たいから高校は男子校に行きたいと。
すると母親は、一も二もなく大賛成してくれた上に、行くなら全寮制に行く方が見られる確率も上がるだろうとアドバイスもしてくれたんだ。
「何かいいネタがあれば、私にも教えてちょうだいね!」
とも言われたけれど。
といったわけで、俺は必死に勉強してとうとう、念願の全寮制の男子校に入学することが出来たんだ。
これで、今度こそ生BLを見られるかと思うと、嬉しさの余り顔がにやけそうになるのを何とか堪える。
こんなところで一人にやにやと笑っていたら、完全にただの危ない人だ。
生BL、ひゃっほう!
と叫びたくなるのをぐっと堪えて、一歩を踏み出す。
これから始まる薔薇の高校生活への期待に胸を弾ませながら。
ともだちにシェアしよう!