34 / 165

葛藤

いろんな感情が渦巻いて、俺はひとりで無駄に飲んでしまい やっぱり酔っ払ってしまう。 志音に、見かけによらず酒が弱いのかと聞かれた。別に弱いわけじゃない。今日酔っ払ったのは志音のせいだ…… 志音の声が心地いい。 スッーとそのまま睡魔に襲われ、半分夢の中でふわふわとする。そんな中、近くで志音の声が俺を呼んだ。風邪をひくからベッドに行けって言っている気がする。 なんとか目を開けると 少し呆れたような、心配そうな、そんな不安げな志音の顔が俺を覗いてた。 抱きしめたくなる…… 肌に触れたくなる。 だめだ、やっぱり酔ってんな俺。 志音に「もう寝る」と伝え、逃げるようにして俺はベッドに潜り込んだ。 睡魔に襲われたと思ったのも束の間、志音がベッドに入って来て目が覚めてしまった。 タイミングが悪すぎる。 ゴソゴソと志音の動く気配がすると思ったら、背中にぴたっと何かが触れた。俺の膝裏に志音の足が触れてるから、背中に触れてるのはきっと志音の頭だろう。 遠慮気味に、そっと俺の背中に触れる志音。 俺を起こさないように……か、たまたま触れたのか。 俺は気が付かれないように寝たふりをしていたのに、不意に肩に手を置かれ驚いて体がびくっと動いてしまった。 「あ…… ごめんね。起こしちゃった?」 小さな声で志音が背中に話しかけてくる。 「………… 」 初めから起きてたけど…… 俺の肩にかかる志音の手は小さく震えていた。 「……先生。俺の事、抱いてよ」 「………… 」 志音は何を思って俺に「抱いて」と言っているんだ? 志音には俺はどう見えてるんだろうか…… だめだよ志音。 震える声で、そんな事を囁かないでくれ。

ともだちにシェアしよう!