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第1話
「呪ってやる!!」
そう叫ぶと黒服に身を包んだ女性は、自分の美しい黒髪を掴みナイフで切り落とした。
「お前が何度生まれ変わろうと、変わらない呪いを!!私を欺き、謀った、自分の罪を悔いるが良いっ!!」
女の手の中で切り取った髪が燃え上がり、女と対峙していた男へ向け放たれた。
「ユリウス王子っ!!危ない!!」
「ッ!?カイルーッ!!」
―――――――――――――――――――――
小鳥たちのさえずりが聴こえる……。
朝だ。むくりと起き上がり周りを見渡す。
何の変哲もない、6畳間。普通に普通な男子校生らしい部屋。
「また、あの夢か〜…」
あくびをして立ち上がる。
佐藤 和也。
剣も魔法も呪いもない。
平凡な世界に生きる。平凡な高校1年生だ。
俺が逃走犯なら『犯人の特徴は?』と聞かれ、10人中10人が『眼鏡』と答える程の平凡。
そんな俺のちょっぴり平凡でない出来事は、16歳の誕生日を迎えた数日前から、毎日同じ夢を見る事だ。短い、一瞬の夢。
『呪いを受けそうになる王子を身を挺してかばう』
ただそれだけ。何で呪われそうになったのか、どんな呪いなのか、俺のその後もわからない。
「和ちゃ〜ん。遅刻するわよ〜」
母親の声に頭を切り替えて身支度を始めた。
高校に入学して、クラスも落ち着き始めた今日この頃。
新しい環境の緊張感が解けて、皆様におかれましても午後の授業がつらくなる日々をお過ごしかと思います。
暖かい日差しが窓から差し込んできて眠気を誘う。
眠気と戦いながらノートをと為にシャーペンをノックしたが、芯が終わってしまっていたので新しい芯を取り出す。
あ、俺のシャーペン0.3なのにこの芯、0.5のHじゃん。う〜ん。コレ使えるかな〜?無理だよな〜
使えないのはわかっていたが試してみるだけ試してみるかと、芯を入れた瞬間。
頭の中にフラッシュをたかれたみたいに真っ白になった。
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