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第17話

 いつだって恋愛っていう奴は暑い。  暑いしどろどろに溶けちゃうし甘いし恥ずかしいし気持ちが良いものだけど、オレは自覚ありの恋愛脳で、好きな人ができちゃうと世界はぜんぶその人で染まっちゃうから例え後々思い返してみるととんでもない屑男だったとしても、好き好き大好きって時にやる性行為はそりゃ、とんでもないどろどろ感ともなっちゃうもんなんだけど。  でもなんていうかさ。あー。あー……。  オレ、こんなに心底好きだよって言われながら触られたことあったっけ?  って思うくらい倉科クンの感情はびっくりするくらい垂れ流しだった。 「……なに? 黒髪の方が良かった?」  ベッドの上に引っ張りあげられて膝の上に座らされて、思わず習慣で首に手を回してしまう。目を細めてとろんと笑った倉科クンなんていうおいしそうなものが目の前にあるもんだから、オレは唇に齧り付かないように必死に耐えてそわそわしてしまった。  オレが倉科クンの感情の動きに機敏になっただけなのか、倉科クンがポーカーフェイス超えるレベルで愛恋うふふしちゃってるせいなのかわっかんないけど、とにかくもうだらだらに甘い。甘い。痒い。辛い。  髪の毛撫でてくれる手つきとかちょう優しくて甘ったるい。  ついでに素っ裸で出てくるのも憚られてしゃーないから怖々と腕を通したふかっふかのバスローブも落ち着かなくて辛い。  黒髪だと年相応のやんちゃボーイに見えなくもない倉科クンは、バスルームから出てきた時にはいつものだらりと伸ばしたピンク髪に戻っていた。どうやらウィッグ的なものだったらしい。  これしかないって言って、やっぱり微妙な顔でバスローブ羽織ってたけど、ちょっと似あうからずるい。スーツも似合っちゃうしDVDショップのエプロンも似合うのは、やっぱり手足が長いからだと思う。 「黒も好きだけどピンクも好きっていうか倉科クンならなんでもイイやもう……や、でもオレ、シュシュ系男子の倉科クン好きかなー」 「あー。あれね、撮影の小道具貰って使ってたらなんか、楽だなって気が付いて。普通にゴムでまとめるよりつけやすいし取りやすいし。でもそんな小物がトキチカさんの胸キュンポイントだったってのは初耳」 「あ、でもバナナクリップかわいかった」 「……おれ、結構見られてる?」 「見てるよバカ。……すきだもん」  流石に恥ずかしくて抱きついたまま首筋に顔埋めるのに、容赦ない倉科クンは甘い声で顔あげてって囁いてくる。うっかり、言うとおりにしたらまたキスされた。 「なんか倉科クン思ったよりキスしてくる……」 「そうっすかね。普通じゃないっすかね。でもまぁ確かにトキチカさんとちゅーすんの好きかもしんない。なんか、気持ちいいし、かわいいし、ていうかもう触んのが好きだわ。一晩中髪の毛撫でてろって言われても喜んで実行できそう」 「なにそれオレが死ぬ……でも倉科クンがソレしたいなら別にオレえっちなことじゃなくてもいいし、一晩ぎゅうってしてるだけでも別に、」 「……トキチカさんセックスそんなに好きじゃない?」  直球で訊かれてしまって言葉に詰まる。  でもお膝の上に乗っかっちゃってるこの状況でいろいろ誤魔化したところでどうにもなんないし、うざいコト承知でもだもだと感情を垂れ流すことにした。 「好きじゃない、って、こたーないけど、一晩中ぎゅっとしてるだけでも嬉しいタイプではある、けど、なんか、ええと……今に限って言えば倉科クンが男子の身体に引いて夢覚めちゃうよりはもうちょっと夢気分でいちゃいちゃしといた方がいいのかなっていう保身と、でもしよって言われてちょう嬉しいどうしようドキドキしてきたっていう残念な欲情が混ざり合ってカオスというか」 「だから夢じゃないって言ってるのに。じゃあ触っても怒んない?」 「怒んないけど。男ですよワタクシ」 「今更何言ってんのって話っすよそれ。トキチカさんだから触りたいとか言わせんな恥ずかしい」  照れ隠しのようなキスの後にバスローブの帯を解かれて、肩からふわふわの布を落とされる。  寒くはない筈なのに、ひやりとするのはオレの身体が興奮気味っていうどうしようもない理由だと思う。暑くて熱くて恥ずかしい。  別にセックスしなくてもいいってのは本当だ。求められるのはうれしいけど、応えるのは結構体力使う。ただ今日はなんかもう倉科クン好き好き大好きみたいな純情な好意が大人のはしたない性欲に直結してしまっていた。  だって倉科クンの手つきとかさー視線とかさー声とかさぁ。ちょうえろいんだもん。 「ちょっと手順とか怪しいんですけど。なんかこう、一回出しといた方があとが楽とかそういうのあります?」 「……最初の人とかは、まあ、そっちの方が、痛いの忘れられていいかもしんないけど、だめオレ今日一回出したら途中で力尽きちゃう自信しかない、から、さっきちょっと準備してきたし、倉科クンが嫌じゃなかったらその、もうちょっとローションでごねごねしてくれたら、たぶん、はいる……」 「了解です。触ったら嫌なとことかある?」 「…………それは振り? それともガチで?」 「ガチで嫌なとこあるなら触んないっすよ。でも『耳は弱いからダメ』とか言われたらわっかんないっすね。なんかおれ、あんま自覚なかったんですけど虐めたいタイプかもしんない」  トキチカさん見てるとぞくぞくする、なんて言われちゃったらもう心底どMなオレはめろめろになっちゃうでしょ馬鹿。  そんなこと言いつつも倉科クンのエロい手で押し倒されて、首筋と耳の裏を甘く噛まれて変な声が出た。肋骨のラインなぞられて、悪戯な指はゆっくりと脇腹をくすぐる。 「……っ、ふ、……くすぐった……、ぁ、ちょ、」 「なんでパンツ履いてるかなぁ……別に、いいっすけど。なんかガチで嫌なとこは無さそうなんで好きに触りますけど、触ってほしいとことかあります?」 「そ、んな、美容師さんのシャンプーみたいに訊かれても、もう、好きにしたらいいじゃん……」 「いや一応聞いとこうと思って。でもなんか、どこ触ってもイイみたいですね……反応してるし」 「ひぅ……!? あ、だから、そこ触ったらダメ、ダメ、我慢できなく、なっちゃうからぁ……っ、ぁ、うしろ、指入れて、平気だから、はやく……」  ゆっくりと下着の上から中心を愛撫されて、たまんなくなって腰引いて逃げた。  全然我慢なんかできる気がしない。でも一回射精したら絶対に力尽きる自信しかない。  最近ようやく寝れるようになったしご飯も食べれるようになったけど、ちょっと前までは失恋で屍だった。体力も気力も落ちまくってて、自慰なんかもできる状態じゃなかったからこういう行為に興奮はしてるけど、それと体力はまた別の話だ。  だめ、やだ、を連呼してやっと倉科クンはそこから手を離して下着を取っ払ってくれる。ついでに邪魔になったのか、倉科クンもさくっと素っ裸になる。  細いけど、それなりに筋肉ついてそうな若い体にくらくらする。オレの好みはもうちょっと厚い胸板だけどそんなんどうでもいい。好みとかじゃない。倉科クンが好きだ触りたい。  ふらふらと若い体に手を伸ばしそうになって、欲情してたのがバレて苦笑いされてまたキュンとする。 「……トキチカさんのえっち」 「倉科クンだってえっちじゃん……なんで男の身体まさぐってチンコ起ってんの馬鹿そういうの感動しちゃう系ゲイ男子なんだから自重してよバカ」 「だってトキチカさんの反応がなんか、あー……ツボっていうか。真っ赤になって涙目で震えて声抑えてんの、すんげークる。ほんとはもっとつま先から頭の先までいじり倒してやりたいんですけどおれも余裕ないんで、ええと、ローションって暖めたほうがいい?」 「別にオレはつめたくても平気……」 「どMっすね」 「うっさいよムッツリどS」  そんな軽口も甘くて不思議だ。  今までベッドの上で、こんな風に素で笑いあったことあったかなぁ無かったかもしれないなぁそりゃその時その時、真剣に恋愛沼にハマってたけど。全部オレが勝手に愛恋メロメロしてて、結局オイシイ言葉ばっかり聴いてたし言ってた気がする。  睦言以外の言葉がこんなに痒くて甘くて嬉しいなんて不思議だ。  そう思ったら変に涙滲んで来て、冷たいローションと一緒に指入れてきた倉科クンに『あ、痛かった?』って心配されてしまった。  違うのそうじゃないの今のどうでもいい言い合いに感動しちゃったの、なんて恥ずかしくて言えないから興奮して涙出たなんていうどうしようもない言い訳をした。それもどうかなって感じだけど、ベッドの上の言葉なんか頭おかしくてなんぼだ。  腰の下にクッション仕込むとちょっとなんかこう、足開いて全部見せつけてる感じになっちゃうんだけど、この方が倉科クンもやりやすいかなぁと思って恥ずかしさに耐えた。  倉科クンの器用で長い指が、おずおずと入り込んで手探りで動き始める。 「……、ん、……二本、入れて多分、大丈夫……そしたら、こう、広げるみたいにさ……っ、あ、そう、かな……? うん、もうちょっとローション……ね、これ、気持ち悪くない? 平気?」  真剣にオレの尻の穴と向かい合ってる倉科クンに、不安になって尋ねてしまう。  だってそれ尻の穴だよなんて流石に言えなかったけど、察した倉科クンは怒るでもなくキョトンとした後に小さく噴き出して笑ってくれた。 「ホント今更なことばっかり訊きやがってって感じですけどもうそういうのもかわいいなーこの豆腐メンタルめって思うからイイやって思っちゃいますわ。ていうか案外余裕ですね、まーそうかーAVとかでもオンナノコは大半演技って言いますもんねぇ。実際は指入れたくらいであんな過呼吸みたいになんないし」 「まあ、おおむねその通りなんだけど、……女子と男子は体の作りも違うわけでして、あー……おみだらな方が、スキ?」 「おみだらでもそうでなくてもトキチカさんならなんでもいーです。演技とかいりませんよ?」 「そうじゃなくて、あーのー……実は、ここがダメェっていうところが、オレにはございまして。ちょっと引くくらい、おみだらに、なっちゃうかもなアレでしてー……」 「……へぇ。どこ? 中の話?」 「ウン、あのね、もうちょっと手前……、の、上? うん、壁って言うか上って言うか、その辺のちょっとこりっとしてるというか、感触が違うところ的、っあ、ん……ッ、あ、ソコ……っ、あ、ぁ、ダメ、そんな、擦っちゃ……ッ」  倉科クンの指がそこをぐっと押した瞬間、身に覚えのある快感が内側からずくんと響く。  腰から溶けちゃいそうな気持ちよさと、じりじりとつま先に残る痺れるようなくすぐったさが辛い。一回そこを押されたらたまんなくなって、 もっとってねだっちゃいそうになるから怖いんだけど、ねだる前に学習能力の高すぎる倉科クンはそこを何度も柔らかく擦って来た。  乱暴に突く感じじゃないのがまたタチが悪い。焦らすようにゆっくりと甘く擦られて、今まで出したこと無いくらい甘い声が溢れる。 「わかった、ここっすね。……すごい、ホントにとろっとろの顔してる、かんわいー……」 「うそ、だって、こんっな、へんたい、っぁ、みたいな……っ、ヤダ、ゆっくり擦んの、それ、ヤダぁ……!」 「変態って言ったら尻の中いじってにやにやしてるおれもっすけど、今日に限ってはこれ一応恋人同士のセックスの一環なんでそういうアレには目ぇつぶってもらいたいっすね。すごい、中うねるってホントなんだ……ね、トキチカさんたまんないって顔しててすんげーかわいい」 「だって、倉科く……っ、触り方、えろすぎ……って、オレ、ヤダ、あ、っん、ぁ、そのっ、掻きまわすのも、ダメ、我慢できなくなっちゃ、やぁだ……っ!」 「……指で擦られるの、きもちい?」 「はっ、ん、きもちい……っから、だめ……ぁ……っ、もう、はやく広げ……倉科クンの、入れ、っあ、……!」  思わずはしたなくねだると、指がもう一本入って来た。  流石に三本となると、なかなかしんどい。とくに入口が伸びてる感じがして辛いけど、でも倉科クンは容赦なくだらだらとオレの中を優しく犯してきやがるから、いっそもっとアホみたいに乱暴にしてくれたらこんなに辛くないのにって思った。  甘い言葉をかけてくるくせにセックスは乱暴な男ばかりと付き合ってきた。  倉科クンは余裕があるって感じでもないんだけど、なんか、すごく丁寧っていうか、優しく甘く虐めてくれる感じでよろしくない。よろしくないけど、その焦らされる快感がたまらなくて本当に素で早く入れてって泣きついてしまった。  どんなにぶっ飛んでても、やっぱりちょっとは演技じゃないけどそれっぽいこと言っちゃえみたいな流され体質が出ちゃうのに、この時のオレってば頭の中真っ白でキモチイイやだきもちいいヤダ早く入れて擦ってってそればっかり考えててホント淫乱って罵られてもなんの申し開きもできない。  でも倉科クンは今までの男みたいに嘲笑って淫乱ちゃんって言葉で詰ってくることはなくて、すんごい切羽詰まった顔でゴムの袋と一緒にゴム破いちゃって『……あーくそ……』とか言ってて死ぬほどかわいい。 「……生はちょっとナントカ菌とかの感染が心配なんでオレは別に平気だけど倉科クンの大事なジュニアさんがご病気にかかる危険性が……」 「あ、平気っすあと五個くらいあります……なにおれこれかっこわっる。今度袋かっこよく破く練習しときます……」 「やめてよかわいい。口でビッって破くやつとかちょっと面白いけど絶対オレときめいて死んじゃうじゃん」 「死なれたら困るけどメロメロしてるトキチカさん超かわいいから練習する。……これ、このまま入れて平気?」 「平気、です、……っぁ、あったか……あーなんか、やばい感動してきた、夢じゃないどうしよう……ぁ、入っちゃ、ん……」 「おれも、なんか、謎の感動がきてます。あー……ほんと、なんでこんなに嬉しいんだろ……恋こっわ……」  それはオレも同意見だ。  恋って怖い。ずっとそう思ってきた。でも今回の恋は、なんかこう、一生引きずっちゃいそうで尚更怖い。どうしよう倉科クンに別れましょうって言われたら今度こそ立ち直れないかもしれない。逆にケッコンシマショウとか言われても号泣するかもしれない。どっちも今考えることじゃないけどうっかり想像して自分の恋愛感覚の重さにちょっと引いた。  そんなオレの内心なんて関係なく、倉科クンのジュニアくんはオレの身体にずぶずぶとくいこんでくる。  熱くてたまんない。圧迫されて埋められる感じがすごく良くて、長い息吐いて指を噛んだ。入ってる、って思うとエロい気分とよくわかんない感動が一緒に襲ってきてわけわかんなくなる。  わかるのは好きってことだけだ。  オレは倉科クンの事が好きで、倉科クンもオレの事好きで、奇跡みたいだなーって思うと涙出てくる。泣いてばっかだけどどうしようもない。  だって好きなんだ。  好きな人に、好きでいてもイイよって言われたんだ。  オレなんかただの面倒くさいゲイなのに。  駄目な男に振り回されて一人で解決もできなくて金も気力も無くなって、いつかこのまま死ぬのかなぁなんて命だって大切にできないような二十六歳なのに。  気持ち良くてたまんなくて嬉しくて切なくて辛くなってなんかもういろんなもんがぐっちゃぐちゃになって、泣きながら喘いでしまった。  これには倉科クンもドン引いてしまっても仕方ない、と思ったのに、優しい上に寛容な年下男子は汗ばんだ手で頬を撫でて苦笑してくれた。 「おれね、トキチカさんのね、そのアホみたいに後ろ向きなとこ、かわいいなって思う。でも死なれちゃ困るんで、ちょっとだけ前向いてくれると安心かなって思います。引っ張っていけるかどうかはまだわっかんないっすけど、まぁ、手を離さない約束はできるし」 「くら、しなくんが、泣かせに、かかってきてる……っ、ふ、もうなんか、えっちしてるのか、感動してんのか、わっかんな……、っぁ、」 「どっちもってことでいいんじゃないですかねぇ。ゲイじゃないオカマがいたっていいし、エッチしたい友情があったっていいし、感動と快感が一緒になったセックスだって、あってもいいんじゃないのってこれ、半分は受け売りっすけど。……動いても平気? つか一回抜いて立て直します?」 「抜くのヤダ動いていい……てか、興奮してるのもホントなの、だから中擦って滅茶苦茶にしてほしいのもホントなのよ、ええと、だから、なんていうか、その、……きもちよくして、ください」  涙で滲んでて表情とかわかんなかったけど、一瞬息を飲んだような気配のあと、ぐっと中のモノが奥に入り込んでオレの息も詰まった。  前のめりになった倉科クンがキスをしてくれる。下半身はどろどろに気持ちいいままで、胸は苦しくて、キスは甘くて頭はぼんやりする。  次に何かを考える前にズッ、っと腰を引かれて思わずシーツを掴んで声を飲んだ。  抜ける時の感覚が結構好きだ。でも入ってくる時の擦る感触もたまんなくて、前立腺をかすめる時にもどかしい快感が這い上がる。  もっとそこを虐めてほしいけど、そんなことされたら溶けちゃうかもしれない。  多分わざとなんだろうけど押し上げるように倉科クンのモノは動いて、オレの嬌声を引き出しちゃう。ゆっくり出し入れしてくるのがずるい。もっとってねだりそうになって唇を噛んだ。  でも腰は勝手に揺れて倉科クンを追いかけちゃう。  ヤダヤダオレこんなの超ビッチじゃん引かれるヤダって思っても気持ち良くて駄目で、結局もっとちょうだいなんてはしたない言葉を口走ってしまった。 「……っ、トキチカさんそれ、おれが『あー』ってなっちゃうから、ダメ……すんごい興奮しちゃうから、だめ」 「だって、くらしなく……いじわる、ぁ、……もっと、いっぱい、突いてほし、……っあ、ひ……っ、ぁ、ソコ、好き、……ぁっあっ」 「うん、覚えました、このへん、ね……あー……トキチカさん、すんごい、かわいいし、たまんないし、何なのホント、……もうほんっと、変な男に取られなくて、良かった……」 「ぁあっ、あ……っ、ソコ、や……ぁっ、そこばっか、あっ、すご、気持ち良、ダメ、やだぁ……! おかしくな……っ、イイ、そこ、ぁ、あっ」 「明日の朝、起きたら、もっかい好きって言ってください。ちょっと、おれも、夢かなって思ってきた、っあーもう、……かわいい、なんだこれ」 「くら、しなく……っ、ダメ、いく、いちゃ……っ、おれ、後ろでいっちゃ……!」  触られてすらいないオレのアレは倉科クンの腹筋に先端擦られてもうそのささやかな刺激ですらヤバくてだらだらと液体を流してる。  後ろのセックスに慣れちゃってるオレは、大変恥ずかしい事ながら後ろだけでイけちゃう。最初っからそんなはしたなさ全開のセックスをするつもりなんかなかったんだけど、だって倉科クンがエロエロに中を擦ってくるもんだからもう前を触ってとかそんなこと要求する余裕なんてなかった。  ヤダイクダメスキを繰り返しているうちに、倉科クンのそれが狙ったようにちょっと浅いところをぐりぐり掻きまわして突いてくる。  それがもうほんとたまんなくて気持ち良くてダメで、オレは押し寄せる快感に飲まれた。 「……っ――――、……ぁ……、っあ、……あ、まだイッ……動いちゃ、ぁ」 「すご、びくびくしてる、……まだ出ますね」 「っひ……ちょ、ダメダメ、ヤダ、触っちゃ、イってるから、ダメ、ヤダぁ、あ、先っぽそれ、グリグリすんの駄目、っあ……! も、イったから、イったから、触っ、……!」 「だめだこれかわいいわ……トキチカさん、感動の涙止まりましたよね。まだ体力ある?」 「え、なに……ぁ、ん!?」 「……ちょっとだけ虐めてもいい?」 「なにそれ怖、ひゃんぁあっ!? やだやだ裏ゴリゴリすんのだめ、駄目、また起っちゃうからぁ……! ぅあ、あっ、ひ……っ、ダメ、っあ、中、まだ、ぁ……あ……っ」  イったばっかりの息子握られてゆるゆるえろーく扱かれた上にまだ元気なままの倉科クンのソレでゆっくりと中を擦られて、快感に震えていた体が跳ねあがった。  待ってダメって言う割に体は全然嫌がってないのが悔しいし、なんだったらオレも本気で抵抗してるわけじゃない。虐めるって言葉にうっかりときめいちゃったどMちゃんは、もう体力無いとかそんなことさえぶっ飛んでて完全にまな板の上の鯉だった。オレなんか鮒くらいの価値しかないだろうけどなんにせよおいしく食べて! 状態だ。  だめこれ以上エッチなことしたら死ぬって思うけど、気持ち良くて止められない。あと倉科クンがエロいのに優しいから困る。手を握ってくれちゃったり、時々キスしてくれちゃったりするからその度にぼやーっとして倉科クン好き大好きってなっちゃう。  オレってば本当にチョロい。流石に自分でも自覚する。 「だって、トキチカさん、かわいいんだもん」  汗ばむ掠れた声でそんなこと言われたら、オレじゃなくてもその身を差し出しちゃうと思うわけだ。  どろっどろに溶けた快感の中で、掠れた甘い声を聴きながら、幸せと気持ちよさで本当にしんじゃうかもって思った。

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