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それぞれの朝【サクラ】
「申し訳ありません」
リヒトはベッドに臥した俺の手を握って謝り続けている。
「だから俺との大人の付き合いにしとけばよかったのに、余裕のないリヒトが若さにまかせてガンガンつきまくったんだろ?」
「サクラ様、今日はゆっくりお休みください」
ユミルさんはマーニャさんに背中を押されて共に部屋を出ていった。
皆の優しさ?がいたたまれない。
マーニャさんに至っては、事後の処理までされてしまって……普通に呼び出すんだもんな……いくらマーニャさんが侍女だったとは言え、俺のモノかリヒトのモノかわからない程、ドロドロになった姿を見られるのは……。
何でも無いことのように、静かなマーニャさんが逆に怖い。
「王族と庶民の差を感じた……」
「え?なんですか?」
「うんん…何でもない……」
布団の中に顔を隠した。
リナはモユルのご機嫌を直しにいってくれている。
今日はモユルとハナコ達の様子を見に行くと約束していたのに……。
俺はベッドから起き上がれなかった……。
布団から覗き見る、心配そうなリヒトの顔。
「大丈夫…だから………そ…な顔しないで……」
喉もがらがらで上手く喋れないけど……。
体をゆっくり動かし、俺の手を握るリヒトの手に、もう一方の手を重ねる。
「俺も…気持ち良かったし……リヒト…に…愛してもらってるの……いっぱい…わかって……嬉しい」
だから心配しないで、と笑いかけた。
「サクラっ!!」
俺の体にダイブしてきた。
腰だかお尻だかに激痛が走る。
「―――――っっっ!!!」
俺の声にならない悲鳴に、またヒリトは謝り続けた。
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