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第3話

ーー真っ暗な世界。 どこを見ても漆黒の闇が広がっている。 光のないこの世界は何故か居心地が良く感じた。 ずっとこの場所にいれたら…… そんなことを思っていたとき、ふと誰かの気配を感じ取って意識が浮上した。 「んっ…………。」 「あ!侑舞起きた?熱あるみたいなんだけど食欲はある?お粥作ってあるんだけど。」 気配の正体は兄だった。 どうやら俺は夢のことを考えているうちに眠ってしまったらしい。 「うーん……あんまりないかな。」 「そっか。でも薬飲むから1口でもいいから食べてほしいかなぁ。」 「…………わかった。少しだけ食べる」 俺の返事を聞いて兄が準備をしに台所に向かっていった。 頭が冴えてきたら、自分がまだ制服のままだった事に気づいた。 (これ絶対にシワになった) まぁクリーニングに出せばいいからいっか。 待っている間に熱を測ったら37.6で、まだそこまで上がってなくてホッとした。 平熱が低いからキツイことには変わりないんだけどね。 そのあとは兄が作ってくれたお粥を少しだけ食べて、薬を飲んで、明日今以上に体調が悪くならないことを願いながら眠りについた。

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