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サヨナラじゃなくて・・・4
「ああ、冬真 。ちょうど良かった、これから智秋 とブランチなんです。冬真と春都 君も一緒にどうです?」
「春都がよければ」
「・・・ち、あき・・・」
「はると・・・っ」
初夜を共にした部屋を出て、食事をしに施設内のカフェへやって来た2組の番 。
もう逢えないのでは、と思っていた一卵性双生児と、当然また会えると思っていた二卵性双生児だ。
「ぇ、なんで、なんで?」
背の高い冬真と夏希 を交互に見上げ、泣きそうな顔で智秋に助けを求める春都。
「何で春都の相手とお前が知り合いなんだよ!?」
夏希のシャツを引っ張り、春都の訴えたい事を代弁する智秋。
「お前じゃなくて夏希 です。昨夜はちゃんと呼んでくれたでしょ?」
あくまで穏やかに、乱暴に掴みかかる智秋を抱き止める夏希。
「春都、夏希は俺の双子の弟だ。似てないけどな」
春都を撫でてあやしながら、彼の疑問に答える冬真。
小さい方の双子が落ち着いて、立ち話もなんだから、と夏希の先導でテーブル席に着く。
「知ってたのか?」
「何がですか?」
「お前の兄貴が俺の春都の相手だって」
「智秋、春都君はもう冬真の春都君ですよ」
智秋の尋問に、答えにならない返答をする夏希。
冬真といえば、メニューを開いて春都に好きなものを選ばせていて、智秋の話しは聞こえていないようだ。
春都も然り。
「僕、これにします・・・ぁ、やっぱこっちにしよおかな・・・」
「じゃあ俺がこっちにするから、半分ずつ食べるか?」
「はいっ!」
すっかり冬真に懐いてしまった春都を、なんとも言えない表情で見つめる智秋だったが、夏希にひょいっと抱き上げられ、そのまま彼の膝上に座らされた。
仲良さげな冬真たちを見て、智秋が羨ましがっていると思ったらしい。
夏希は、突然の事に状況が掴めない智秋をぎゅっと抱きしめ、ご満悦だ。
「ちょ、なに、や、おろせっ!恥ずかしいだろっ!」
「もっと恥ずかしいコトしたじゃないですか」
「言うなぁ──っ!!」
こっちはこっちでイチャイチャしているように見え、今度は春都が複雑な顔に。
「春都も座るか?」
「ふぇっ?・・・ぃえ、あの・・・・・・ぁ、あとで・・・」
「わかった」
春都はお膝だっこが羨ましかったらしい。
後で、という要望が通ったので、ここでは行儀よくする事にした。
「ねえ智秋」
「ん?」
「僕たち、シアワセになれそうだね」
「・・・ぅ、うん、まあ、たぶん・・・」
夏希の膝上で大人しくなった智秋と、ほっとしたように微笑む春都。
穏やかなブランチを楽しみながら、まさか新居でもこの4人で暮らす事になるとは、知るよしもない。
サヨナラの代わりに、誓ったシアワセ。
愛する君といるより他にも、僕らは新しいシアワセを見つけ始めた───
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