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第1話
───どうしてこうなった。
手と足、首には鎖のついた枷が嵌められている。そして牢屋である暗いそこで、監禁されている。
ここは人間と獣人が共存する世界。
そこに溶け込めずに、深い森の奥で暮らす人間がいた。
俺もその一人だったけど、外の世界が見たくてみんなの反対を押し切って森を抜け出した。
外の世界は広かった。
俺達にはない文化が沢山あった。
「おいお前、お前は何をしてここに入れられた?」
「俺······何もしてないけど。」
「はあ?そんなわけないだろ。ここは罪人が入る場所だぞ?」
俺は森を出て、街を歩いていたんだ。初めて見る風景に心が踊って、歩き回っていたらどこかで女の人の叫び声が聞こえた。振り返ると俺と背丈の似た少年が走ってきて、その人が通り過ぎたと思えば、俺はガタイのいい人達に取り押さえられたのだ。
「本当に何もしていない。勘違いなんだ。」
「ふーん」
話しかけてきた男は俺の話なんて信じていないだろう。それは見ればわかる。
「それにしてもお前、不思議な容姿をしているな。黒髪に黒目って……」
「何か変か?」
「まるで伝説に出てくる妖精じゃねえか」
「何だそれ」
不思議に思っていると、大きな音が鳴った。それと同時に男は黙って背筋を正す。
「おい、その伝説って───」
「───おい、貴様、何を勝手に話している。」
「え……」
牢屋の柵の向こうから聞こえてきた低くて太い男の声。そして金色の瞳がこちらを覗き込んでいた。
「お前だ、お前。罪人が勝手に口を開くな」
「あ、その事なんですけど……」
「聞こえなかったか?」
ぐわっと大きな手が伸びてくる。その手に口を覆われた。
「勝手に話すな。」
「…………」
心臓がうるさく音を立て出した。
この人、人間じゃない。
「罪人は話すのに許可がいる。」
「……」
「ん?お前、その容姿は作り物か?」
手が離れる。はっ、と息を吐き出した。
「聞いているだろ。質問に答えろ。」
「容姿……?作り物、って、なんですか……生まれた時から、ずっとこう……」
「……。おい、こいつを外に出せ」
急にドアが開き、首の枷に繋がる鎖を引かれて外に出さされた。
あ、この人って偉い人なんだ。周りにたっていた人達が言うことを聞いている。
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