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放課後デート_02

「ちょっと、総一さん」 「総一君たら、嫉妬深いんだからぁ」  お前が悪いんだろうが。俺をからかうように指で身体を突っつかれ、ムカついてデコピンを食らわると、ビシッとイイ音がした。  その音に驚いたか、秀次の肩が揺れた。冬弥が痛そうに額を手で押さえてかたまっている。  仕置きだ。冬弥をそのままに、俺は秀次の肩に腕を回わす。 「それでだ。秀次、モデルをしてくれないか?」 「え、俺?」 「秀次の事を描きたいんだ」 「それこそ冬弥さんの方が絵になるんじゃ……」 「お前の身体、理想的なんだ」  俺のような筋肉質の身体ではなく、細いがしっかりと筋肉がついている。  そっと首を撫でると、くすぐったかったのか、目尻が下がりふるりと震えた。  あぁ、可愛いな。もっと触りたくなるじゃないか。 「総一、セクハラしていないで買っといでよ」  痛みから復活した冬弥が俺と秀次の間に割って入る。いいところなのに、邪魔するなよ。  冬弥が駄目だといいたげに首を横に振るう。解ったよ、これ以上は何もしない。 「そうだな。行ってくる」 「おう。ここで待ってるわ」  会計をする為にレジへと向かう。  そして二人の元へと戻ると、秀次がモデルを引き受けてくれるという。  待っている間、冬弥が上手く話しをしてくれたのだろう。俺を見てウィンクをする。  ありがとうと声に出さず口だけ動かし、秀次には詳しくは明日と言い、画材店を後にした。  流石に画材を持ったままデートの続きという訳にはいかず、今日はここで秀次と別れる。 「今日は付き合ってくれてありがとう」 「あぁ。また明日な」 「今度は二人きりで、デートしよう」  と告げると、俯いていた秀次が顔をあげる。  別れの挨拶と、頬にキスをする。それに驚いた顔をして俺を見る秀次の髪を撫で、じゃぁなと手を振った。  我慢できずにキスをしてしまった。俺は誰に見られても気にならないが、秀次は周りを気にしていたな。  その姿も可愛くて、つい、意地悪をしたくなるんだ。  冬夜には秀次が可哀想と、でも、したくなる気持ちもわかると言っていた。  家に帰った後も、可愛いスタンプを送ったりして、俺を意識させる手を緩めない。  ま、やり過ぎにだけは気をつけよう。嫌われたら元もこうもないからな。  

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