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放課後デート_03

 はじめは昼休みに時間を貰って絵を描こうと思っていたが、それでは時間が足りない。  部活の時に来て貰うという手もあるが、秀次にモデルをして貰う事は、部員には教えたくなかった。  それならうちに来て貰えばいい、ばぁちゃんも会いたいと言っていたし、休日も二人きりでいられる。  それに家ならば、無理なお願いも聞いて貰えそうだ。 「待っていたぞ」 「おう、どうも」  何か眩しそうな顔をしているな。丁度、日が差し込んでいるしな。カーテンを閉めておけばよかったか。  でも、風が気持ちいいしな。秀次が閉めて欲しいといってからでいいか。  秀次が腰をおろすのを待ち、 「秀次、モデルの件なんだが」  と話し始める。すると秀次が身構えはじめ、俺は大丈夫だよという意味を込めて笑ってみせた。 「今日からと言ったけれど、土曜か日曜、どちらか俺の為に時間をくれないか」 「別にかまわないけれど、ここで描くんじゃねぇの?」 「いや、家に来てほしい」  その方が色々と都合がいい。 「昼休みは時間が足りないし、秀次の事、他の部員に知られたくないし」  部員の数名に俺と秀次が友達だと言う事は知られている。モデルまで頼んだと知ったら、色々と聞かれそうだしな。  それに三芳には知られたくない。余所行きのおすまし顔で、私のモデルもして欲しい、なんて頼みかねない。  自分の魅力を知っているから、それを使ってくるしな。 「わかった」  何故だろう、秀次の様子がおかしい。  目を見開いたまま俺を見て、ぽろりと頬に涙が伝う。  それを急いで手の甲で拭い、何事もなかったかのようにしようとした。  俺は秀次に何をした?  俯く秀次の顎を掴み、顔をあげさせる。不安げな眼差しに胸がずきりと痛む。 「不安になるような事を言ってしまったのか、俺は」 「べつに、なんでもねぇよ」  強がって嘘をついて、そんな事をするなと、俺は秀次の頭を抱きしめて撫でる。 「秀次、何が気になったんだ。話してくれないか」 「他の部員に知られたくないって」  そうか。他の奴を牽制するために、秀次と仲の良い所を見せつけたばかりなのにな。 「勘違いさせたか。そういう意味じゃない」 「じゃぁ、どういう意味だよ」 「俺以外の奴に、ちやほやさせたくない」  俺の言葉に、秀次の顔が真っ赤に染まる。 「まったく、お前は可愛い奴だな」  恋愛に初心ではないだろうに、俺の前ではそんなだから、手を出したくなるんだ。 「んぁ、そういちさん」  快楽に弱い所も、たまらない。すぐに顔が蕩けるよな。もっと、気持ち良くさせたい。俺の手で感じて欲しい。  服の中へ手を入れ、脇腹を撫で、腹筋へと触れる。  うん、思った通りにイイ身体だ。全て脱がせてみてみたい。 「やっぱりいい筋肉している」 「駄目だって」  胸を強く押され、唇と手を離す。  俺から身を守るように自分自身を抱きしめて身を小さくしている。  あぁ、拒否られたか。残念だ。 「油断も隙もねぇ」 「好きな子にさわりたいと思うのは普通だろ」  秀次が止めなければ、別の場所まで触れていただろう。  もっと触ってほしいと思わせるように、摘まんで、扱いて、この手でイかせて……。 「学校ではやめてほしい」 「我慢できたらな」  と、頬に口づけた。 「我慢する気なんか、全然ねぇだろ」  ばれたか。  胸板に、パンチが一発。キスが嫌で殴られたのではなく、照れからくるやつだ。  だから調子に乗ってしまうんだ、俺は。  にやにやする俺に、秀次がジト目を向ける。  ごめんと言って手を合わせれば、ため息をつき、顔を背けた。

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