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秘密のプレゼント(秀)
総一さんのばぁちゃんの名は田端美代子 さんという。
母方の実家で、旦那さんは勇 さんといい、二人は幼馴染で大恋愛の末に結ばれたという。
家にいくという事は、美代子さんに会えるんだよな。すげぇ、嬉しい。
そうだ、美代子さんに何かプレゼントを買おう。総一さんには内緒にして。
驚くかな、二人とも。そういうことを考えるだけでもワクワクする。
だけど、美代子さんに何を贈ればいいだろう。
知っているのは、料理上手で孫大好きな美代子さん、というくらい。せめて外見くらいは聞いておけばよかった。
可愛い系、綺麗系、クール系、どれが似合うのかすらわからねぇ。
総一さんに聞いたらプレゼントの事がばれそうだし、冬弥さんはどうだろう。美代子さんに会った事があるだろうか。
とにかく、買い物に付き合って貰おう。
冬弥さんに勝手に入れられた連絡先が役に立つ時がきた。
<冬弥さん、買い物付き合って>
メールを送信。直ぐに返事が、メールではなく電話できた。
『総一じゃなくて、俺?』
「そう。美代子さんに贈り物をしたいんだけど、総一さんにも秘密にしたい」
『そういうことね。わかった。あのさ、弟も一緒に良い?』
弟も一緒って、もしかして俺と二人きりが嫌だったのか、それとも何か約束していたのか。
どっちみち、嫌な時はそうはっきり言うし、約束があるなら断るだろう。
「あぁ、かまわねぇよ」
『じゃぁ、彰正に連絡入れとくわ』
と通話が切れる。
俺から言った方が早い気もするが、お願いする身としてはそちらさんの言う通りにするだけ。
暫くすると尾沢が俺の方へと振り向き、指でOKサインをだし、それに応えるように頷き返した。
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