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秘密のプレゼント_02

 放課後のホームルームが終わり、尾沢と目配せをし教室を出る。 「兄貴から連絡を貰って驚いた」  と一緒に出掛ける仲になったんだなと言われるが、はじめだから。しかも総一さん抜きで会うとか。 「総一さんの美代子さんにプレゼントを贈りたくてさ。冬弥さん、知ってそうだし」 「そういうことか」  と呟いた後、 「あのさ、俺の事は彰正で良い。同じ尾沢だから、ややこしいだろう?」  確かに。尾沢と呼んだらどっちだよってなるわな。 「わかった。そうさせてもらうわ」  そこは素直に下の名前で呼ばせてもらう事にした。  基本、男の顔をじっとみる事なんてあまりない。だから今更気が付いたんだけど、冬弥さんと彰正って、にてねぇよな。 「近い」  うわ、たしかに。夢中になって見てたんだな。 「わりぃ」  そう顔を引き離した。 「もしかして、義理の兄弟ということは聞いていないのか」  そうだったんだ。似ていない理由は納得した。 「女子なんてすごいよ。兄貴が俺の事を話すものだから、期待して見にきてさ、それでガッカリされる」  それ、地味にくるやつじゃねぇか。  兄貴と比べられて、勝手にガッカリされて、そうされる度に彰正は傷ついているんじゃないのか。  俺が冬弥さんの弟だったら、絶対に口を聞いたりしない。まして、一緒に帰るなんてありえないわ。  彰正は我慢強い奴だな。 「すげぇな、彰正は」 「何がだ?」 「俺だったら耐えられねぇよ」 「しょうがないよ。兄弟だから」  あきらめているよと小さく笑う。  ずっとそう言い聞かせてきたのか。なんか、いじらしいよ。  待ち合わせは校門の前だ。  俺らの方が先について冬弥さんを待っていたら、女子と話をしながらゆっくりとこちらに歩いてくる。  あいかわらずモテるな。まぁ、背が高くてイケメンだし、女子には優しいみたいだしよ。 「兄貴、早く来い!」  痺れを切らせたか、彰正が冬弥さんに向けて大声で言う。 「わかりましたよぉ」  女子に手を振り、小走りで向かってくる。  おお、冬弥さんが言う事を聞くなんて。俺が言ったら余計にゆっくり来るか、後で文句を言われるだろう。 「おまたせ」 「ほら、行くぞ」  彰正が歩きだし、俺と冬弥さんがついていくカタチとなる。 「で、何を書くか決めてある?」 「美代子さんってどんな人なのか解らないから思いつかなくてさ。冬弥さんは会ったことあるか」 「あるよ。総一は図体がデカいだろ。でも、美代子さんは小柄で可愛い人なんだ」  へぇ、小柄で可愛いんだ。  後、好きな色や食べ物を聞いたりしていたら、ショッピングモールについた。

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