48 / 72
秘密のプレゼント_02
放課後のホームルームが終わり、尾沢と目配せをし教室を出る。
「兄貴から連絡を貰って驚いた」
と一緒に出掛ける仲になったんだなと言われるが、はじめだから。しかも総一さん抜きで会うとか。
「総一さんの美代子さんにプレゼントを贈りたくてさ。冬弥さん、知ってそうだし」
「そういうことか」
と呟いた後、
「あのさ、俺の事は彰正で良い。同じ尾沢だから、ややこしいだろう?」
確かに。尾沢と呼んだらどっちだよってなるわな。
「わかった。そうさせてもらうわ」
そこは素直に下の名前で呼ばせてもらう事にした。
基本、男の顔をじっとみる事なんてあまりない。だから今更気が付いたんだけど、冬弥さんと彰正って、にてねぇよな。
「近い」
うわ、たしかに。夢中になって見てたんだな。
「わりぃ」
そう顔を引き離した。
「もしかして、義理の兄弟ということは聞いていないのか」
そうだったんだ。似ていない理由は納得した。
「女子なんてすごいよ。兄貴が俺の事を話すものだから、期待して見にきてさ、それでガッカリされる」
それ、地味にくるやつじゃねぇか。
兄貴と比べられて、勝手にガッカリされて、そうされる度に彰正は傷ついているんじゃないのか。
俺が冬弥さんの弟だったら、絶対に口を聞いたりしない。まして、一緒に帰るなんてありえないわ。
彰正は我慢強い奴だな。
「すげぇな、彰正は」
「何がだ?」
「俺だったら耐えられねぇよ」
「しょうがないよ。兄弟だから」
あきらめているよと小さく笑う。
ずっとそう言い聞かせてきたのか。なんか、いじらしいよ。
待ち合わせは校門の前だ。
俺らの方が先について冬弥さんを待っていたら、女子と話をしながらゆっくりとこちらに歩いてくる。
あいかわらずモテるな。まぁ、背が高くてイケメンだし、女子には優しいみたいだしよ。
「兄貴、早く来い!」
痺れを切らせたか、彰正が冬弥さんに向けて大声で言う。
「わかりましたよぉ」
女子に手を振り、小走りで向かってくる。
おお、冬弥さんが言う事を聞くなんて。俺が言ったら余計にゆっくり来るか、後で文句を言われるだろう。
「おまたせ」
「ほら、行くぞ」
彰正が歩きだし、俺と冬弥さんがついていくカタチとなる。
「で、何を書くか決めてある?」
「美代子さんってどんな人なのか解らないから思いつかなくてさ。冬弥さんは会ったことあるか」
「あるよ。総一は図体がデカいだろ。でも、美代子さんは小柄で可愛い人なんだ」
へぇ、小柄で可愛いんだ。
後、好きな色や食べ物を聞いたりしていたら、ショッピングモールについた。
ともだちにシェアしよう!