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秘密のプレゼント_03
冬弥さんにアドバイスを貰いつつ、何件か店をめぐる。
そして気に入った品が見つかり、これなら大丈夫だろうとOKも貰えた。
買い物につきあわせたお礼にと、コーヒーショップへと入りご馳走することになった。
「今日は付き合ってくれてありがとう」
「おう」
美代子さんには出かける時に使って貰うようにスカーフ、そして抹茶と小豆のクッキーを選んだ。それは美代子さんの好物なんだって。
「まじで助かったよ」
「まぁな。女性の事ならまかせろ」
と得意げに冬弥さんがいう。
年配の女性がつけてもおかしくなく、可愛らしい品なんて俺じゃ選べなかっただろう。
「喜んでくれるといいな」
と彰正が優しい目をしていう。
「あぁ、そうだと嬉しい」
冬弥さんとは出会いは最悪だったが、思ったよりも優しいし、彰正も面倒くさらずに付き合ってくれた。
それに、約束してたんじゃねぇのか、二人とも。
「なぁ、今日ってさ、なんか約束してたんじゃねぇ?」
二人を交互に指さすと、
「もしかして、俺も一緒だからか」
と彰正が返してくる。
「まぁ」
だって、そうだとしたら悪ぃしさ。
「違う。互いに用事がないときは一緒に帰っているだけだから」
気にする事は無いと言われた。
「へぇ、そうだったんだ」
兄弟で仲がいいというのは良い事だわ。
「俺が彰正と離れたくないだけだから」
と冬弥さんが言う。え、冬弥さんってブラコンなのか?
意外だな。彰正に対して俺様な態度をとっているのかとおもっていた。
「兄貴、何を言って……」
どうやらマジでそのようだな。彰正が焦っている。
「冬弥さんは彰正の事が可愛いんだな」
「あぁ、可愛いよ。宝物だ」
うわ、言い切った。なんか、胸がじんときた。義理でも本当の弟のように思っているんだな。
「やめろ」
そしてデレる彰正。普段は頼られキャラだけに、なんかレアだわ。
「だからこれからも一緒に帰るし、猫かわいがりもするからなっ」
手を高々にあげ、キリッとした表情を見せる。
「黙れ」
と冬弥さんの脇腹に、彰正が遠慮なしにパンチをくらわした。
「ぐふ」
テーブルに倒れ込む冬弥さんに、俺は両手を合わせてご愁傷様と口にした。
駅で別れ、プレゼントを手に家へ帰る。
今日は楽しかったな。
普通に話せたし、ブラコンだという事も知った。
二人とも友達になりたいなんて思ったら、さすがに図々しいか。
総一さんだけでも俺にとっては勿体ないひとなのに。さらに求めてしまったら、いつかしっぺ返しがきそうな気がする。
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