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気づかされること

 彰正に昨日のお礼を言い、少し話をした。  それを面白くない目で見る、二人の目。それは少し前から気が付いていた。  そう、俺が彰正に話しかけたあの日からだ。  全て俺がしたことで自分達は関係ない、そんな態度をとってシカトしていたくせにな。  とうとう向こうから話しかけてきた。 「田中、調子に乗るなよ」 「あぁ? てめぇらに何か関係あるか」  俺が矢面に立てば、今まで通り、お前等は目立たなくて済むからな。  以前の俺は自分が目立つことばかり考えていたから、それで構わないと思っていた。  だけど、今は違う。そんな自分が馬鹿馬鹿しくて痛い。 「葉月にあんな真似してさ、その友達と仲良くなるとか、どんだけ図々しいんだよ、お前」  あぁ、これって、俺が葉月にした事のまんまじゃねぇか。随分と下らねぇことをしていたんだな。  気にくわないから食ってかかる、こいつらもあの時の俺と同じ気持ちなんだろう。 「俺に構うな」  以前の俺なら、何を言われても気にする事は無かった。鼻で笑いあしらっていただろう。  だが、今は違う。やられたら心が痛むのだと知ったから。 「俺らを巻き込んだように、また同じような事をするんじゃねぇの? なぁ、お前みたいのは友達を作る資格はねぇよ」  俺の肩を強く押し、二人は離れていく。  こんなに嫌な気持ちになるなんて。同じことをされて、やっときがついた。  嫌だったろうな、葉月。ただ気に入らないというだけで俺に嫌味を言われたり、喧嘩を吹っかけられたりしてきたのだから。  全てはなかったことになどできないのに。周りの人の優しさに俺は甘え過ぎていたんだ。  美術室へと行く気になれず、屋上へと向かう。何度もラインの通知音がなるが、俺は無視して目を閉じた。  

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