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君は俺のモノ_07
後頭部の後に弁当のおかず、食いかけのパン、俺の手、唇、シャツの隙間から見える鎖骨……、あ、これはたまに見える鎖骨が厭らしくて、思わず描いてしまったわけだ。
「なんだよこれ」
「え、秀次の手に、唇に、鎖骨、今日はここを」
と服の隙間から手を入れて胸を撫でる。
「おぉい、誰が触ってイイといった?」
「ん、目の前にあったら触るだろ?」
特にここ、な。俺は乳首を指で摘まんだ。
「総一さん、痛いんですけど」
秀次は痛い方か。でも、男も感じるって、冬弥は言っていた。
「男でも、触っているうちに感じるようになる」
「へぇ、それって自分ので試したのか、そういう相手でもいるのかよ」
ん? もしかして妬いているのか。秀次以外の男に障りたいとか思った事は無い。
ここは誤解のないように、
「冬弥が言っていたから」
と口にすると、秀次がホッと息をはいた。
やばいな、妬いてくれた事が嬉しくて顔が笑ってしまう。
「何」
「今、嫉妬したよな」
だが、秀次は照れからか、素直にそうだとは言ってくれない。
しかも、
「ともかく、これ以上さわるなら、膝十字固めな」
と話を戻した。
「わかったよ」
ひとまず手を離すが、俺が諦めていないと思っているのだろう。
「総一さんは待てを覚えような」
まるでワンコにマテをさせるように、顔の前に掌を向けてきた。
「おいおい、俺はワンコじゃないぞ」
「前に、匂いを嗅がれたし」
十分、ワンコっぽかったぞといわれる。確かに、秀次の匂いを嗅ぐのはすきだ。
「ワンワン」
ふざけて秀次にじゃれつく。首の付け根に鼻を近づけると、くすぐったいか、表情をゆるめた。
駄目だといいつつも無防備なんだよな、秀次は。だからつい触れたくなるんだ。
「秀次のそういうところだよ、俺が我慢できなくなるのは」
どういう事だというような顔で俺を見る。
秀次の頭をかき混ぜるように撫でると、首をぺろりと舐めた。
「うわ、ちょっと」
頭を押される。
それくらいでは、やめてやらんぞ。俺は獲物を目の前にした獣の如く、自分の唇を舐める。
「膝十字固めっ」
向こうも危機を感じたのか、そう口にするが技を掛けてくる気配はない。
「やってほしいのか」
とからかうと、
「そんなわけあるか」
そう言いかえす。すっかりと俺のペースだな、秀次。
「隙だらけで、押しに弱くて、少し天然な所、好きだぞ」
笑顔でそう口にすると、ヘッドロックを掛けてきて、俺はそのまま床に秀次を抑え込んだ。
「総一さん」
そうくるとは思わなかったようで、焦る秀次に、ワン・ツー・スリーとカウントをとり、
「俺の勝ちだな」
と口角をあげた。
秀次があんぐりと口を開けたままかたまっている。間抜けだぞ、その顔。
よし、それなら我に返るように、
「勝利のキス」
唇を指でとんと叩き、秀次にキスを促した。
すると、かたまった表情は柔らかくなり、口元に笑みが浮かぶ。
そういう意味でも俺の勝ちだな。
「はいはい、おめでとさーん」
と、秀次が俺の首に腕を回し、勝利のキスをくれた。
<総一・了>
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