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第3話
擽ったさがぐずぐずと腹の奥で泡立ちはじめ、脚の付け根に熱が籠る。
怖い、このまま全部どうでもよくなりそうで。流されたいと思っている自分が怖い。混乱の中で、滝は思わず眼下の髪を掴んで佐治を引きはがした。グイっと上を向かされた男の顔が意外そうに滝を見た。
戸惑いの残る潤んだ瞳が切なく細められて佐治を見下す。髪を掴む手はそれ以上何をするでもなく強く握りしめられている。
扉の向こうから洗濯終了を告げる電子音がした。一瞬正気に戻った滝を引き戻すように、長い指が後ろから太腿の内側に入り込むと、筋肉の張った尻がむずかるように動く。
「滝くん、感じてるだけだから。怖がることはないよ。」
下着を押し上げる中心は既に蜜を溢れさせている。佐治の指が薄い布越しに裏側を撫で上げた。一日の肉体労働で統制の緩んだ理性は簡単に揺さぶられ、屹立は直接的な刺激を求めていた。声にならない息を吐いて滝は思わず腰を揺らした。もう無理だ。
誘惑は甘く重く二人を包み込んでゆき、抜け出すなんて選択肢はとうに消去されていた。
髪をつかんでいた指がふっと緩んだのを狙って、佐治は腰が引けた滝をベッドに押し倒した。
「佐治さん、俺。」
期待で蕩けそうになっている滝の身体を押さえるのに力は要らない。欲望の臨界は超えていた。
浅い息と共に上下する臍に舌を突っ込んでくるりと犯すと腹の底から切なげな声が上がり、背中が大きく反りかえる。押し寄せる快楽の水際で健気に揺れる淡い瞳に告げた。
「僕のネコにして可愛がってあげる。」
【完】
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