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第1話

「ああっ! もう、だめ……っ」 真っ暗闇の中にいるはずなのに、目の前がチカチカして明るく感じる。 背後に立つαの男に腕を引っ張られているせいで、胸を突き出す様な格好になり、犯され続ける後孔からはグチュグチュといった生々しい水音が聞こえてきた。 口からははしたなく唾液が溢れ、それが自らの頬を伝い首に付けられた冷たい金属を濡らしていく。 (なんでこんなことを俺が……) 心では物凄く嫌がっているのに、身体はそれに反し「もっと……もっと」と強請ってしまう。 その証拠に、出入りしている男のモノを離さないと言わんばかりに、無意識に締め付けてしまっていた。 「--ッ!!」 「ん゛ん〜っ……」 先ほど自分が行った行動のせいで、男が俺の中に大量の白濁を吐き出す。 好きでもないこんなものは早く外へと出したいのに、未だに突っ込まれたままのソレが栓代わりとなっていて、俺の腹の中に溜まっていく。 男の出したものが体内で溶けていき、自分の体液の一部になってしまう様な気持ち悪い感覚と、長かった行為の疲れのせいで俺はいつもの様に意識を手放した。 --ジャラ。 寝返りを打った際に聞こえた金属の音と、首を引っ張られる様な感覚で目が覚める。 あの後、店の奴がここまで運んでくれたのだろう。ご丁寧に首輪から伸びた鎖はベッドの柵に繋がれているが、身体は綺麗になっており、しっかりと服を纏っていた。 ここはα様御用達の性の捌け口の店。もちろん身体を使って働くものは皆Ωである人間だ。 俺たちとは違い、優秀で容姿が整ったα様たちは金さえ積めばなんだって見逃してもらえる。 過去にはお気に入りのΩに薬を打って無理矢理発情させ、力ずくで自分の番にさせた客だっていた。 俺たちがどんなに泣いて喚こうが、あいつらがこの行為を辞めることはない。 こんなところに来るくらいなんだから、元から変な性癖を持っている奴らなんだろう、俺たちのことはペット位にしか思ってないんだ。 その証拠に、いい売り物が脱走しない様こうして繋ぎ止めている。 (……ま、俺たちだって、自由になれない事くらい分かってるよ……) --ジャラ。 首から垂れ下がっている鎖を弄りながら考える。 定期的に来る発情期のせいでまともな職にも就けず、社会的地位も何も無いΩは、それを利用してこんなところでしか働けないんだ。 逃げ出さない様にとこんな風に鎖で繋がれてはいるが、逃げる=死としか考えられない俺たちには、そんなことをする勇気は無い。 例えここを出たとしても、外で突然発情してしまえば……その場で多くの奴らにヤリ殺されて終わりだからな。 (そんな事……昔からわかってんだよ) それでも俺は……未だに心のどこかで願ってしまう。 いつか、俺だけを幸せにしてくれる運命の相手--番である人に出会えることを。 まだ見ぬソイツを思い浮かべながら、小さな窓に映る外の景色をぼーっと眺めていた。

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