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捜し人 1

「はぁっ、はぁっ………」 少年は走る。 真っ暗闇の夜の森をひたすら走る。 ここが何処なのかも分からない。 けれどどこでもいい、ここから早く離れなければ。 少年は必死に逃げるように走った。 何度も振り返りながらも走って走っていつしか森を抜けたようで視界がひらけた。 後ろを振り返り何かを確認すると少年は安堵とずっと走り続け疲れてしまいその場に崩れ落ちる。 「ミルド………」 少年の弱々しく呟く言葉は誰の耳にも届かずそのまま視界が真っ暗になった。 ____ ザッと音を立て気を失っている少年の細い腕の横に現れた足。 その持ち主は語りかけるように呟いた。 「ねぇ、これ、どうしよう?」 「あ?ほっとけよ。 めんどくせぇ」 「それは流石に可哀想でしょ」 しゃがみこみ足元に倒れている少年の頬にそっと手を伸ばす男はふっと微笑んだ。 銀色の長い髪を棚引かせる青年は女かと思うような顔立ちで少したれ目がちな目が特徴のとても美しい。 「ここじゃ、狼にでも襲われかねないし、ね?」 「………わーったよ。 お前の好きにしろ」 「どうも」 美しいその青年に言われ仕方ないと切れ長の目が特徴の少しうねった黒髪の青年は目の前で倒れている少年を抱え彼等は町の方へと消えていった。

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