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捜し人 2
____夢を見た。
とても懐かしい夢。
大好きな彼が遠くに立っている。
「___っ!!」
少年は必死に彼の名を呼ぶも声が出ない。
その間にも彼は背を向け去っていく。
『待って‼行かないで‼』
彼を追いかけようと走るが足が縺れて転んでしまい追いつくことが出来ずに彼は消えてしまった。
そこで夢は途切れ目を開けると体は汗ばんで息も切れていた。
すると突然目の前に現れた一人の人物に驚いて上半身を起こし後ずさるとその人は微笑んで大丈夫、怪しい者じゃないよと優しい口調で語りかけてきた。
よく見るととても美しい顔をしている。
一瞬女性かとも思ったが声を聞くと男なのだと理解する。
改めて周りを見渡してみると何処かの家のようだ。
丸いテーブルを囲うように椅子が2つ、そして少年はベッドの上でその隣にはもう1つベッドが並んでいるがとても質素な部屋。
「ここはお兄さんの家?」
「いや、宿だよ。
旅の途中で君が倒れていたから連れてきたんだ。
ああ、僕の名前はフラン。
君は?歳はいくつ?」
「……シュリ。多分14歳……」
「シュリ、何処か痛いところとか苦しいとかは無いかい?」
そう聞かれシュリは首を横に振った。
すると今度は部屋のドアがガチャリと開かれ黒髪の男が現れ、シュリは体を強張らせた。
「そのガキ起きたのか」
男がそう発すると怯えているシュリを見てフランが自分の仲間だから大丈夫だと優しく微笑んだ。
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