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グリムの森 3
このグリムの森に逃げ込んだまでは良かった。
良かったのだが……
「困ったな……
方位磁石が狂ってる」
ここは磁場が強いのか何故だか方位磁石がクルクルと回り安定しない。
これではカランの町に辿り着くどころか森から出られるかも分からない。
「つーか腹減ったわ。
もう陽も落ちてきたし今日は休もうぜ」
「確かに、お腹すいてきたかも……」
すっかり疲れてしまってシュリなんか伏せているグリムに寄りかかって今にも眠ってしまいそうだ。
しかしこうして見るとグリムも可愛い動物に見えてきた。
フランはそっと触れてみようと手を伸ばすとグリムは牙を剥き威嚇してきた。
「うわっ!!」
「……馬鹿だろお前」
「だって……」
シュリを見てると羨ましくなってくるのだ。
もしかしたら自分も触れるかと思ったが呆気なく撃沈し、改めてシュリにしか従わないのだと理解した。
この状態だからこの日はここで野宿をすることにした。
シュリのお陰でグリムに襲われずに済むし、人も寄り付く事もない。
何かあればグリムがシュリを守るためにいち早く察知するだろうから安心して眠れる。
一行は雨風をしのげる岩陰に身を置き、そこで火を焚き、市場で買った食料で飢えを凌ぐ。
「取り敢えず明日は、どっか見晴らしのいい場所に登ってここがどこか確認しねぇとな」
「そうだね」
動くのは明日。
三人ここで眠りについた。
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