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第24話 東棟

 「じゃあ、行こうか?」  この通訳さん、この前の外国人の人くらい言葉が通じません。  「あの、どこへ行くのですか?」  「東棟の軽音の部室だよ、この時間なら誰もいないし。俺、鍵持ってるから。あ、部長なんだよね」  「な、何をしにそんなところへ……」  「え?することって決まってるでしょ?セックスの他になんかある?あ、大丈夫だよ、あそこ俺が時々使ってるからブランケットとかローション置いてあるし」  「……無理です」  「え?特定の人いないんでしょ?じゃあ。いろいろ試してみるのも大切。俺もマサキくんにちょい興味あるし」  神様、この人とは永遠い会話が噛み合わない気がします。  「あのっ!てっ、手を離して下さい!」  このまま引きずられて行ったら、大変な事になりますよね。  「ん、あれ?ヤるんじや無いの?場所、他が良い?」  今僕たちは何語で話しているのでしょうか。全く通じていないようです。  「征木さん、手を離して下さいっ!!  「あ?手か………だめだね、逃げるでしょ。取り敢えず一回はヤっとこうよ」  取り敢えずとか、ないですよね。  話をするよりセックスが先って、そんな常識聞いたことありません。  結局ズルズルと引きずられて東棟の軽音の部室に軟禁されまうようです。  僕は、女性にはからっきしモテませんが、なぜか男性にはモテるようです。これって、必要なアイテムが足りていなくて、別に欲しくないオプションだけついてきた感じです。

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