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第25話 校門

 『もしもし将生、今どこにいるの?』  携帯が鳴りました。香月さんです。助かっりました。  「ひ、東棟です」  『東棟って言われても場所が分からないな。今校門のところにいるんだけれど来られる?』  「多分、オマケ付きなら行けます。いえ、むしろ行かせてください」  『オマケ?まあ、良いや。待ってるよ』  すっかりその気の柾木さんに声をかけてみます。  「柾木さん」    ああ、自分の名前と同じなのってどうなの。  「香月さんが、校門のところに来てるそうですが……」  「え、香月さん!?」  この人、本当に嬉しそうです。目が輝きだしました。  ん、あれ?なぜか胸が重たいです……もしかして病気でしょうか?  「来てくれと言われたのですが……」  「行く、行く!紹介してよ」  ああ、香月さんのことが好きって本当なんですね。紹介すれば……僕は戻れるのでしょうか。でも、もう戻りたくないような気もします。  えっと、どうして戻れないのかな?僕は思考回路がおかしいのかもしれません。  嬉々として部屋から出て行く後ろ姿を見ながら、だんだんと歩く速度が遅くなってしまいます。ここから一人でラウンジに戻ろうかなあと考えてしまっています。

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